量子メスとは?

量子メス(重粒子線治療)

重粒子線治療とは,一定以上の質量を持つ粒子 を加速して、直接、悪性腫瘍に照射する技術です。

つまり、がん細胞を死滅させる技術です。

この技術は、「量子メス」と呼ばれています。

現在のがん治療で加速粒子として用いられているのは炭素イオンです。

炭素イオンを加速した「炭素イオン線」でガンを治療します。

重粒子線は従来の放射線治療で用いられてきたX線とは異なる物理特性・生物特性をもつことから、さまざまながんへの有効性が期待されています。

日本では、重粒子線治療は1994年に放射 線医学総合研究所で開始されました。

2003年には、固形がんの重粒子線がん 治療が先進医療の承認を受けています。

この治療方法のメリットは、照射するビームのエネルギー を制御することで病巣の深さに合わせた照射が可能なことです。

近年の研究により、これまで放射線治療 が適応とされなかった疾患に対しても有効な治療 法となることや、従来の放射線治 療より良好な結果が期待できることが明らかになってきています。

小型化とコストが課題

重粒子線治療装置では、大きな常伝導磁石を用いて高磁場を発生させて 炭素イオンの粒子線を輸送・制御するため、装置が 非常に大型となるのが課題です。

また、先進医療として、患者が高額のコストを負担しなければならないという問題があります。

しかし、近年は、小型改良や、治療の保険収載の取り組みが進んでいます。

将来的には、低価格の小型加速器で、保険適用された治療として、多くのがん患者が、大きな費用負担なく治 療を受けられる日がくるかもしれません。

参考にご覧ください