以前、こんな情報が話題でした。
日本の「ジェンダー・ギャップ指数(男女平等指数)」が、過去最低という話です。
世界経済フォーラム(WEF)が2019年12月17日に発表した「ジェンダー・ギャップ指数(男女平等指数)」。日本の順位は調査対象153カ国のうち121位とさらに後退し、「過去最低」のスコアとなった。
参考🔗https://doors.nikkei.com/atcl/column/19/121900153/122400011/
男女平等を完全に実現することができれば素晴らしいですが、日本には、喫緊の課題もあります。
それが少子化です。
少子化
昭和16年1月、夫婦の出産数を平均5児(!)とすることを目標に、人口政策確立要綱のスローガンが閣議決定されました。
そのスローガンは、「産めよ殖やせよ」だったそうです。
このスローガンが出てきた背景には、兵士確保の目的と、近隣諸国に国力で負けることへの危機感があったからだそうです。
しかし、戦争が終わり平和な時代になり、日本社会は、国家よりも個人を重んじる社会へと変化しました。
その結果の延長で、現代では、「結婚は自由」、「出産は自由」という価値観が広まりました。
いまだに、政治家の方々の中には、「女性は子どもを産むべきだ」というような価値観を公言する方がいますが、現状、どうなっているかというと、ご存じのように、出生率はどんどん下がっているわけです。
さらに、
日本の人口の行末について、日本の総人口は、2018年の10月1 日時点で、1億2,644万人だったそうです。
そして… どうやら、日本の総人口は、令和11(2029)年に人口1億2,000 万人を下回り、 その後も減少を続け… 令和35(2053) 年に、1億人を割って9,924万人となると推計されているようです。
令和 47(2065)年には、なんと8,808万人にまで減ると推計されています。
65歳以上の者1人に対して1.3人の現役世代という比率になるそうです。
ただし、この推計よりも、人口減少は早く進む可能性があります。
厚生労働省が12月24日に発表した2019年の人口動態統計の年間推計では、日本人の国内出生数は86万4千人となりました。
問題なのは日本だけではないようですが、、、参考までに、もっと大変なことになっているのが、お隣の韓国です。
最近に公表された韓国の合計特殊出生率は0.98と、データがある1970年以来初めて1を割り込んだということです。
背景には、こんな事情があるようです。
所得水準が向上し、先進国になる過程で少子化は進む。子どもの教育にお金がかかることに加え、経済が安定成長期に入ると女性の労働力が増えて仕事と育児の両立も難しくなる。経済が成熟してサービス志向になると、女性の労働参加が増える。さらに、女性の高学歴化で社会進出すると、晩婚・未婚化が進み出生率にも影響する
※引用元 https://style.nikkei.com/article/DGXNASGU26002_W4A620C1000000/
ここで、上に述べられている一般論は、そのまま日本にあてはまるものだと思われます。
冒頭の話に戻すと、「ジェンダー・ギャップ指数(男女平等指数)」を上昇させようと思うと、たぶん、女性の高学歴化、女性の労働参加の増加、女性の賃金の増加などを促す必要があるでしょうけれども、それは、シンプルに考えれば、「女性が男性を選ぶときの収入基準が上がる」ということにつながるので、今の高い未婚率をさらに上昇させる作用があります。
少子化にはマイナスです。
男女不平等と、少子化、両方の問題は、コインの裏表のような関係なのでしょう。
ここで、現代の結婚制度の前提を考えると、日本の「一夫一婦制」という決まりを変更すれば、一定の効果は得られるかもしれません。
重婚を認めるということです。
しかし、一夫一婦制は、憲法の要請するところです。
日本国憲法24条 憲法24条(家族関係における個人の尊厳と両性の平等)
1婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
これを受け、民法や刑法は、重婚を禁止しています。
民法732条(重婚の禁止)
配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
刑法184条(重婚)
配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、二年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。
一夫一婦制を変更するのは、憲法改正が必要ということで、かなり高い壁があることが分かります。
では、一夫一婦制のままで、
男女不平等と少子化の両方の問題を解決できるのかでしょうか。
移民を受け入れて人口を増やそうという話はありますが、文化的な違いにより、現実には、なかなか難しいという感じはします。
いったい今の日本は、何を優先すべきなのか、、、取捨選択を考えなければいけない時代に突入したといえるのかもしれません。