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SDSE感染症とは

streptococcus dysagalactiae subsp. equisimilis という連鎖球菌は、SDSEと呼ばれます。

血液寒天培地でベータ溶血を示し、ランスフィールド抗原はCまたはGに属します。

皮膚軟部組織感染症や、敗血症、化膿性関節炎、間接性心内膜炎、肺炎など様々な病態が生じます。

遺伝子解析などからSDSEは、ストレプトコッカスピオゲネスS.pyogenesの持っている多くの病原性因子を持っていることが明らかになっています。

ベータラクタム系薬への感受性は良好です。

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新型コロナPCR検査は儲かる・・・その利益率とは?

病院の内情をお知らせします。

新型コロナウイルスの検査には、いま、保険が適用されています。

病院内でPCR検査をする場合、1350点です。

病院外の検査会社に委託する場合(検体の輸送を伴う場合)、1800点です。

ほとんどの病院は、後者を採用しているので、ひとりの患者をPCR検査をすると、病院は、1800点すなわち18000円の収入が発生します。

そのうち、7割の12600円は保険組合からもらうことになり、また、患者の自己負担分の3割である5400円は、公費で補填されます。

さて、ここで問題になるのは、検査会社に委託するときの費用です。

18000円から委託費用を引いたものが病院の利益になるからですね。

その費用ですが、、、

社名は伏せますが、検査会社によって差があり、安いところでは、1件あたり1万円で請け負う会社があります。

高めのところでは、1件あたり1万3千円で請け負う会社もあります。

たとえば1件あたり1万円の検査会社を使うと、病院には、PCRの検体を採取して検査会社に発送するだけで、8千円の利益が残ることになります。

もちろん、諸経費があるので、丸々8千円は残りませんが。

かなり利益率は高いです。

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尿浸透圧の測定方法

浸透圧は、水分摂取と抗利尿ホルモン(ADH)を介した尿量により調節されている。

健常人は、尿の浸透圧を、50~1,200mOsm/L 程度まで、希釈〜濃縮できる(幅が広い)。

測定方法は、氷点降下法または蒸気圧法が用いられる。

氷点降下法

結氷した試料を融解して測定する。

蒸気圧法

蒸気圧による露点の変化を測定する。

 

なお、尿の浸透圧の測定方法について、第66回臨床検査技師国家試験問題の午前 問1に出題されている。

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血液培養を採取すべきタイミング

血液培養の採取において、タイミングは重要です。

一般的な、「熱が出たら血液培養」というのでは、血液培養の陽性尤度比は、それほど上がらないという報告があります。

すなわち、高体温のみを指標に血液培養を採取すると、陰性の結果ばかりになり、振り返って「無駄な血液培養採取が多かった」という評価になる可能性が高いです。

好中球減少がある、デバイスが使用されている(菌血症のリスクが高い)、外傷や熱傷がある(菌血症のリスクが高い)、蘇生後である、低血圧や意識障害(敗血症/敗血症性ショックや急性細菌性髄膜炎を疑わせる)、呼吸不全、腎不全、悪寒戦慄があるようなときは、事前確率が高くなります。

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基準範囲(基準値)と臨床判断値の違い

基準範囲とは

基準範囲(reference interval)とは、基準個体(reference individual)が示す検査値の分布が正規分布する時に、中央値+2標準偏差を上限値、中央値-2標準偏差を下限値とした区間である。

基準個体を選ぶための明確な基準は存在しない。

したがって、個々の診療施設で、独自の基準範囲を定めるとすれば、基準個体をどのように選ぶかが、基準範囲に大きく影響する。

現在では、米国臨床検査標準協会(Clinical Laboratory Standard Institute:CLSI)の定義に従って、一定の基準を満たす個体(基準個体)を抽出して基準範囲を求める方法が推奨されている。

『日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲案 ―解説と利用の手引き―』より 引用。基準範囲・基準値・基準個体について。
『日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲案 ―解説と利用の手引き―』より 引用。基準範囲・基準値・基準個体について。

基準範囲のピットフォール

基準範囲は、あくまでも、統計的に導き出されたものであり、疾患とは、まったく関係がない。

また、基準範囲は、それを策定した時点(過去)のものである。集団に、検査データに影響するような変化が起きた場合には、その基準範囲は、妥当なものとは言えなくなる。現在または将来において、その基準範囲が妥当するかどうか、定期的に確かめる必要がある。

共用基準範囲

日本臨床検査標準協議会(JCCLS)基準範囲共用化委員会は、検査関連学会などと協力し、全国で共通して使用できる「共用基準範囲」を設定した(2014年)。

共用基準範囲は、3つのプロジェクト(IFCCアジア地域共有基準
範囲設定プロジェクト、日本臨床衛生検査技師会、福岡県5病院会)で集めた、3つの母集団(合計約六千人分)の健常者をもとに策定されたため、信頼性が高い。

臨床判断値

臨床判断値は特定の病態に対して定められたものである。

つまり、特定の病態の診断・予防や治療・予後について判定する基準となる。

臨床判断値の分類であるが、おおまかには、

  • いわゆるカットオフ値(診断閾値(diagnostic threshold:疾患群と非疾患群を区別する検査値))
  • 治療閾値(treatment threshold:治療介入を必要とするかを判断する臨界値)
  • 予防医学的閾値あるいは健診基準値(prophylactic threshold:発症予防の観点から発症前に早期に介入を行う目安とする検査値)

がある。

基準値と臨床診断値をめぐる混乱

病院などで行われる検査について、検査結果の報告書には、基準範囲と臨床判断値のどちらを記載するか、施設間で統一されていない。

基準範囲が「判断の物差しとして使える」という誤解がある可能性がある。

reference interval の現在の訳語“基準範囲”よりも、“参照範囲”という別の訳語をあてたほうがよいかもしれない、という識者もいる。

なお、疾患をスクリーニングするのであれば、基準範囲を適用するのではなく、病態ごとの臨床判断値を適用するほうがよいと思われる。

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測定原理とピットフォール

測定原理は、大きく分けて、イオン選択膜電極法、比色法、免疫学的測定法がある。

イオン選択膜電極法

イオン選択膜電極法による測定は、ナトリウム、カリウム、クロールに分けられる。

イオン選択膜電極法では、検体やプローブの異常によってサンプル量が変動すると、3項目の濃度が全て同じ方向に変動する。

電気的なノイズや比較電極の異常などが生じた場合、陽イオンと陰イオンでは逆方向へ変動する。

比色法

比色法はキレート法および酵素学的測定法、酵素活性測定法に分けられる。

340 nm の吸光度を測定し還元型NADHあるいは還元型NADPHを定量する方法では、光源ランプにノイズや光量のふらつきなどが起こると、測定誤差の原
因となる。

免疫学的測定法

免疫学的測定法では、試薬に含まれるマウスやヤギなどの抗体に対して反応する異好抗体を有している検体では、非特異的に反応し異常高値を示す。

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培地についてのメモ

TS寒天培地(日本BD)

Trypticase Soy Agar II with 5% Sheep Blood (TSAII)

・一般分離用の非選択培地

・トリプチケースペプトンおよびファイトンペプトンが、幅広い細菌に対して発育を促進する

・脱センイヒツジ血液(5%)が、培地の栄養価を高めている

・S.pyogenes等のレンサ球菌や他の溶血反応を的確に見ることができる

・S.agalactiaeを確認するCAMPテストにおいて明確な結果を得ることができる

コロンビアCNA5%ヒツジ血液寒天培地(日本BD)

Columbia CNA Agar with 5% Sheep Blood

・グラム陽性球菌の選択的分離に用いるのに適している

・コロンビア寒天培地に「コリスチン」、「ナリジクス酸」を添加し、5%の脱センイヒツジ血液を加えたもの  ・グラム陽性球菌の旺盛な発育が期待できる

・溶血反応の判定は可能。ただし、ある種のレンサ球菌によるβ溶血反応は、緑がかった色で現われα溶血に見えることがある。

チョコレートII 寒天培地(日本BD)

・Haemophilus、Neisseriaなどの栄養欲求のきびしい菌の分離培養に最適な非選択培地

・GC寒天培地に、ヘモグロビンとエンリッチメント(アイソバイタルX)が添加されている

・炭酸ガス環境を必要とする菌、あるいはその方が良い増殖を示す菌は、炭酸ガス環境(約3%から10%)で培養すると良い結果が得られる

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検査

血液検査と基準範囲の雑学

血液検査と基準範囲についての雑学をご紹介します☆

健康診断を受けるなどして、血液検査の結果が返ってくると、かならず、検査結果の横に、数値範囲が書かれていますね。

たとえば、こんな感じでしょうか。

この数字の範囲は、『基準範囲』と呼ばれます。

さて、この基準範囲は、どのように求められているのでしょうか?

実は、この基準範囲は、ざっくりと言えば、

「健常そうな人を集めて、約95%の人が含まれる範囲」です。

 

より具体的に言えば、検査データの平均値に、2×標準偏差(±2SD)を加えた範囲です。

なので、健常人のうちの約5%は、基準範囲から外れる設計となっています。

「健康な人でも、基準範囲を外れることがある」ということなので、基準範囲を外れても、それが異常を意味するわけではないということになります。

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医療従事者向け 検査

ステロイドとCRP低下・白血球(好中球)上昇

患者さんの経過を追っていると、突然、CRPが大きく低下するのを見かけることがあります。

(炎症が改善したのかな?)

と思って見てみると、ステロイド(例:プレドニン)を使っているケースがあります。

調べてみると、ステロイドを使っていると、CRPは下がりやすく、好中球数は上がりやすくなるそうです。

CRPが下がりやすいのは、炎症性サイトカイン(IL-6 など)の産生が低下するからで、好中球数が上がりやすいのは、好中球の組織への移行が低下するからだそうです。

検査は奥深いですね。

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尿素窒素(尿素)の血液検査.

BUNとSUN

尿素窒素の測定は、かつて、全血を用いて行われていたので、血液尿素窒素(blood urea nitrogen:BUN)と呼ばれていました。

現在では、検査室では血清試料によって測定されていますので、その場合は血清尿素窒素(serum urea nitrogen:SUN)です。

なお、BUNの方がわずかに低めの測定値となります。

体内の動態

尿素は、蛋白の代謝産物であるアンモニア(NH3)から、尿素サイクル(オルニチンサイクル:OC)により合成されます。

このサイクルは、肝臓、腎および赤血球にありますが、尿素合成の主役は肝臓です。

尿素は,体外に排泄されるN量の80~90%を占め、ヒトではN排泄経路の主役となっています。

正常の血清では、8~23mg/dlの尿素N濃度を示します。

尿素は、体内で再び代謝に用いられることはありません。血液から腎の糸球体を通って尿中に排泄されます。健康人では、1日に20~35g程度の尿素が尿中に排泄されます。

SUNが高値となる場合

・蛋白摂取量の増加
・組織蛋白の異化冗進
・消化管出血
・腎血流量の減少
・腎障害
・尿路の閉奉

SUNが低値となる場合(臨床的には問題にならない)

・妊娠
・組織タンパクの異化減少
・タンパク摂取量の減少
・重篤肝障害
・強制多尿