栄養アセスメントでは、アルブミンやトランスサイレチン(プレアルブミン)などの蛋白が指標として利用されます。
しかし、アルブミンなどの蛋白は、炎症や、肝細胞障害、アルブミン製剤の投与などで、値が大きく変動し、解釈が困難となる場合があります。
そこで、脂質代謝の指標を活用します。
つまり、総コレステロールや中性脂肪を、栄養状態の評価に役立てます。
総コレステロール
コレステロールは食事から吸収されるものが全体の30%ほどです。
残りは、主に肝細胞で合成されます。
総コレステロールは,すべてのリボ蛋白
〔カイロミクロン(CM),超低比重リボ蛋白 (VLDL),中間比重リボ蛋白(IDL),低比重リボ 蛋白(LDL),高比重リボ蛋白(HDL)〕のコレステロール成分の総和を示します。
コレステロールの含有量は、LDLやHDLで多くなっています。
コレステロールは血中半減期が8日です。
もしも、低アルブミン血症でも、総コレステロールが基準範囲内にあれば,肝臓の合成能は保たれていて、最近まで患者の栄養状態がよく、消化管機能も大きな問題がないと評価できます。
なお、「測定値が低い=低栄養」ではなく、肝機能障害や胆管閉塞などに影響される点に注意です。
中性脂肪(TG)
中性脂肪の血中濃度は空腹時(12時間以上絶食)に測定します。
これは、肝臓で合成されたTGを測定していることになります。
TGが高値なら、脂質異常症の診断ができます。
持続する低栄養では、TGは低い値を示します。
なお,ネフローゼ症候群、糖尿病、肝機能障害などでTGは変動するため、注意です。