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化学

水平化効果とは?

水平化効果とは、酸の解離度を示すパラメータである「酸解離定数(pka)」を測定する際に問題となる現象です。

pkaとは?

酸解離定数pkaは、pka=-log10Kaで定義され、式中の「Ka」は酸の電離定数です。pkaの値が小さいほど強い酸と評価されます。
pkaは、電位滴定法、紫外可視分光法、核磁気共鳴分光法などにより、通常、水中で測定されます。

水平化効果とは?

たとえば、水中において、塩酸や硫酸などの、オキソニウムイオン(H3+、pka=-1.7)よりも強い酸は、水と完全に反応します。つまり、酸は完全に電離し、水分子にプロトンが与えられ、オキソニウムイオンが生じます。

このとき、水溶液の酸の強さは、オキソニウムイオンのみを反映します。これを、溶媒による「水平化効果」といいます。

従って、水中で完全電離する強酸A、Bがあるとして、同じ濃度であれば、強酸Aのpka値と、強酸Bのpka値とは、同じ値となります。 つまり、強酸AとBの酸の強弱を評価することができません。

そのような非常に強い酸の強弱を調べる手法としては、たとえば、プロトン供与能が水よりも高い溶媒(たとえば酢酸)中で測定したpka値を比較する方法があります。

なお、上記では、強酸を例に説明しましたが、強塩基の場合も同様です。すなわち、水中では、強塩基が、水分子からプロトンを奪うことにより水酸化物イオンを生じさせる結果、強塩基の強さと、水酸化物イオンの塩基としての強さとを区別できなくなります(従って、強塩基の強さを水中で測定することはできません)。