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散録

表現の自由と法

日本国憲法は,「集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する」と規定しています(21条).

これは,いわゆる「表現の自由」を定めた条文です.

これは国家私人との関係について規定したものです.

なお,ここでいう私人には,法人も含まれると解されます.

「憲法第三章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り内国の法人にも適用される。」(八幡製鉄事件・最判昭和45年6月24日より)

 

ゆえに,私人私人との間では,憲法21条は関係ありません.

たとえば,私人同士で「黙れ」と言っても,それは表現の自由の侵害(人権侵害)には当たらないわけです.

※そうはいっても,私人間で,表現行為を尊重し合うことが大切であることは言うまでもありません

ちなみに,法律に,私人間での表現の自由に関する規定が何もないのかというと,そうではなく,名誉毀損罪とか侮辱罪とか,刑法に定められた行為については,国家が介入し得ることになります.