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網赤血球ヘモグロビン等量(RET-He)と鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血(IDA)の鉄欠乏診断には、血清鉄(Fe)や血清フェリチン濃度(FER)が用いられていますが、近年、短期間の鉄動態のマーカ ーとして網赤血球ヘモグロビン等量(RET-He)が注目されています。

実は、この網赤血球ヘモグロビン等量が登場する前、網赤血球ヘモグロビン含量(meanreticulocyte cell hemogiobin : CHr)というものがありました。

CHrは、1990年代に自動血球分析装置の網赤血球解析情報として、Bayer社から、最初に提供されました。

CHrは、トランスフェリン飽和度(TSAT)や血清フェリチン濃度と比較して感度や特異度に優れていたそうです。

つまり、CHrが低値の場合には約1週前に鉄欠乏があったこと を意味し、鉄欠乏検出パラメーターとして非常に感度が 高いとのことです。

2004年には、Sysmex社から、CHrと同等な測定項目として網赤血球ヘモグロピン等量(reticulocyte hemoglobin equivalent : RET-He)が提供されるようになりました。

今では、多くの施設で、RET-Heは測定可能となっています。

なお、鉄欠乏性貧血(IDA)について紹介しておきます。

病態

鉄の供給が需要に追いつかないときに生ずる小球性低色素性貧血です。

検査データ

末梢血小球性低色素性貧血(MCV80以下,MCHC30以下)を示すことが多いです。

また、貧血に加え、血小板数が増加することが多いです。

赤血球像

大小不同、薄赤血球、楕円赤血球がみられます。

骨髄像

赤芽球過形成を示すことが多いです。

生化学検査

血清鉄60μg/dl以下、TIBC、UIBCの増加、血清フェリチンの低値を示します。

診断・経過観察上のポイント

出血部位の同定など,鉄欠乏の原因の究明が重要です。