腸肝在位ヘリコバクター属菌感染症(Helicobacter cinaedi)

Helicobacter属には、37菌種がいる。

ヒトから分離されるHelicobacter属菌は、胃在位のH.pyloriと腸肝在位のH.cinaedi を含む7菌種が知られている。

H.cinaedi

H.cinaedi (Helicobacter cinaedi) については、日本国内では2003年に最初の感染例が報告された。

基礎疾患があって免疫機能が低下した患者の腸管や肝臓,血液からの分離報告例が多くを占めている、とされる。

イヌ,ネコ,ハムスターなどの糞便から分離されたという報告があり、動物からヒトへ感染することも示唆されている。

臨床的には、蜂商織炎、直腸炎、発熱,下痢,腹痛,胃腸炎,丹毒,関節炎,髄膜炎,敗血症などの病態を呈する。

敗血症では、血液培養ボトルを、1週間ほど培養すると検出される。

平板培地での培養時には、血液寒天培地を用いる(水素添加の微好気条件が良いとされる)。

寒天培地上ではフィルム状に生育するため発育を視認しにくい問題があり、注意を要する。

治療では、広域ペニシリン,セフェム系抗菌薬が有効。

なお、日本国内で近年分離される株には、エリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬や、シプロフロキサシンなどのニューキノロン系抗菌薬に耐性があることが報告されている。

H.cinaedi の感染症には、いまだ不明な部分が多く、今後のさらなる研究が必要であると言われている。