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特許法の目的に疑問を呈する

特許法の目的について疑問を呈する立場で解説します。

特許法の第一条は、特許法の目的を定めた条文です。特許法の目的は、「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与すること」です。

この条文から分かるように、特許法は、発明者に対して一定期間独占的な権利(特許権)を与えることで、その発明を保護し、社会に広く利用させることを目指しています。

また、そのような制度があれば、他の人も新しい発明をすることに刺激されると考えられます。

つまり、特許法は、個人の利益と社会全体の利益を両立させることで、技術革新や産業振興に貢献することがねらいです。

以上が特許法の第一条です。

特許法の目的に対する疑問

上記のように、特許法の目的は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することですが、その前提や効果については様々な見解や議論があります。

例えば、以下のような疑問があることが知られています。

  • 特許制度は本当に発明を奨励するのか?
  • 特許権がなくても発明は生まれるのではないか?
  • 特許制度は本当に産業の発達に寄与するのか?
  • 特許権があることで技術の流通や競争が阻害される可能性はないか?
  • 特許制度は本当に社会全体の利益になっているのか?
  • 特許権があることで消費者や開発途上国など弱者の立場が損なわれる可能性はないか?

これらの疑問は、一概に答えることができるものではありません。

特許制度は歴史的・社会的・経済的・文化的・倫理的な要素を含む複雑な問題です。

たとえば、特許制度によって、開発途上国の人が被害を受けている例を考えてみます。

特許制度は、発明者に対して一定期間独占的な権利(特許権)を与えることで、その発明を保護し、社会に広く利用させることを目指しています。

しかし、その一方で、特許権があることで、発明品の価格が高騰したり、技術の流通や競争が阻害されたりする可能性もあります。

これは、開発途上国の人々にとっては不利益な結果をもたらす場合があります。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

医薬品やワクチンなどの特許権があることで、開発途上国の人々は必要な医療を受けられないかもしれません。

特に、HIV/AIDSやマラリアなどの感染症に対する治療薬や予防接種は高価で入手困難です。

この問題に対処するためには、特許権者と開発途上国政府やNGOなどとの間でライセンス契約を結んだり、強制実施権(コンパルソリーライセンス)を行使したりする必要があります。

農業分野では、遺伝子組み換え作物や伝統的な種子などの特許権があることで、開発途上国の農民は自由に種子を保存したり交換したりすることが制限されるかもしれません。

また、生物多様性や先住民知識などの資源や知恵が無断で特許化されること(バイオパイラシー)も問題視されています。

この問題に対処するためには、生物資源や伝統的知識の保護や公正な利益配分を規定した条約(例:生物多様性条約)や法律(例:インド・生物多様性法)を尊重したり遵守したりする必要があります。

以上のように、特許制度には、さまざまな問題があることも事実です。