原油と取引について解説します。
取引体系について
取引体系には、1)現物市場、2)先渡し市場、3)先物市場の三つがあります。
現物市場
原油の現物を取引するものであり、売買契約の成立とその履行がほぼ同時に行われます。
なお、現物価格は「スポット価格」とも呼ばれ、原油を産油国から輸入するときの1回きりの取引価格を指します。
実際に原油を必要とする石油会社や商社らが当座の需要を満たすために現物を売買するときの価格になります。
先渡し市場や先物市場
原油を売買する契約履行時期を将来に設定する取引です。
将来の原油調達・売却価格を決定しておくことで、原油価格変動のリスクを避けることができます。
差金決済によって取引を終了できるため、資産運用手段にもなります。
取引場所について
原油の世界統一のマーケットは存在しません。
つまり、原油マーケットは世界各地にあります。
なお、先物市場については、北米・欧州・アジアが三大市場です。
原油価格の種類について
原油価格というと、次の三種類が有名です。
①ニューヨーク市場の先物価格(WTI)
②ロンドン市場の先物価格(北海ブレント)
③東京の業者間取引のスポット・現物先渡し原油価格(ドバイ原油)
①WTI(ウエスト・テキサス・インターメディエイト)
先物です。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場されています。
世界で最も売買量が多いのが特徴です。
最も軽質で硫黄成分が低いため、最高級の品質です。
産地はアメリカ合衆国のテキサス州やニューメキシコ州です。
産出量は世界の産出量の1~2%です。
なお、WTIは米国内でしか消費されない石油です。
いわゆる「ローカル石油」です。
価格に影響する要素は、こちらをご覧ください。
②北海ブレント
先物です。
インターコンチネンタル取引所 (ICE)に上場されています。
英国とノルウェーの経済水域に位置する北海にある海底油田が産地です。
欧州の原油価格の指標です。
油質的にはWTI原油と中東産原油の中間です。
中東やアフリカの原油価格も反映しやすくなっています。
③ドバイ原油
現物です。
日本の東京商品取引所(TOCOM)に上場されています。
ドバイ原油は、アラブ首長国連邦(UAE)の7つの首長国の一つであるドバイが産地です。