現在、ある程度の大きさの病院(総合病院や大学病院など)になると、ほとんどの病院は、患者にフルネームで名乗ってもらうというのを院内ルールで定め、そして実践しています。
みなさんも、そのような病院に行ったときに、診察券の確認に加えて、名前をフルネームで名乗らされたご経験があると思います。
とはいえ、いちいち自分の名前を声に出すのは面倒ですから、ひょっとしたら、
「いったい何の意味があるんだろう」
「病院側が名前を尋ねればいいじゃないか」
などと疑問に思われたこともあるかもしれません。
ところが、実は、この「名乗ってもらう」ということには、非常に大きな意味があるのです。
これは、患者の取り違えを防ぐために行われているのです。
どういうことかというと、患者さんの中には、「つぎは自分の番だ」と思いながら待っている人がとても多いのです。
たとえば、「佐藤さーん!」という呼びかけに、田中さんが「はい」と返事してしまうような事件が、往々にして発生するのです。
そうなってしまうと、本来、佐藤さんにすべき医療行為を、田中さんに実施してしまうことになりかねません。
とても危険なのです。
特に、患者さんには耳の遠くなった高齢者の方が多いので、取り違えの可能性がアップします。
ですから、病院では名前を名乗るように言われても、面倒臭がらずに、フルネームを名乗るようにしましょう。
さらに言えば、フルネームを名乗らせない病院(あるいは職員)は、安全の意識に欠けていると言えるでしょうから、十分に気をつけてください。