2022年11月現在、ビッグテックと呼ばれる、いわゆるGAFAMの株価が大きく下落するなど、コロナバブルは崩壊に向かっています。
主な原因にはFRBによる政策金利の引き上げ(利上げ)があるわけですが、今後、どのように株価が推移していくのかについては大きな注目が集まっています。
そんな状況の中、私が気になるのは、貴金属の価格、とくに金価格が、これからどのように推移するのかということです。
ロシアによるウクライナ侵攻や、イギリスの政治的混乱によるポンド危機、アジア諸国による金の輸入量増大など、金価格に大きく影響する事象が多く発生していることもあり、注目しています。
過去を振り返る
今般のコロナバブル崩壊については、さまざまなアナリストが分析をされています。
アナリストの中には、過去の金融危機のときの金融商品の値動きを参考にしている人もいて、私もそれに倣い、過去を振り返ってみたいと思いました。
過去から何か示唆を得ることはできるでしょうか?
金融危機と金価格
1.リーマンショックと金価格
まず、2008年のサブプライムローンの問題をきっかけとして発生した金融危機のその後、米国の株価と金価格が、どのように推移したのかを見てみます。
こちらは、2007年の初めのころを基準に、S&P500(青色ライン)、ナスダック100(水色ライン)、ならびに金価格(オレンジライン)の推移を比較したグラフです。
金融危機ののち、いずれも、価格は上昇していくわけですが、底打ちしたタイミングが重要です。
このグラフをみると、金価格の底打ちが、株価の底打ちよりも早く訪れていることが分かります。
金価格の底打ちは、2008年10月末である一方、株価の底打ちは、2009年の3月と、両者には約4か月のずれがあります。
2 ITバブル崩壊
さらに、いわゆるドットコムバブルとも呼ばれるITバブルのときは、どうだったのでしょうか。
このときも、株価の底打ちのタイミングよりも、金価格の底打ちのタイミングのほうが早く訪れています。
いずれの金融危機をみても、金融危機の終盤では、株よりも金(GOLD)に資金が集まりやすいことを示しています。
コロナバブル崩壊後の金価格予測
繰り返しになりますが、これまでの金融危機を参考にすると、金価格の底打ちは、株価の底打ちよりも早く訪れます。
今回のコロナバブル崩壊においても、同じように推移することが予測されます。
特に、米国の金利がピークアウトしたタイミングでは、ドルと金の相対的な金利差が縮まることになりますから、そのタイミングでは、多くの資金が金に向かうことが予想されます。
アメリカの政策金利のゴール(ターミナルレート)は、「5%を超える」とも言われ出し、いまだ定まらない状況ですが、金価格の推移とあわせて、注視していきたいと思います。