赤沈検査について解説します。
赤血球沈降速度とは
血液に抗凝固剤を加えて放置すると、赤血球が試験管の底に沈みます。
そして、血漿の一部が上方に分離されます。
この現象は、「赤血球沈降現象」または「赤沈」(erythrocytesedimentation)と呼ばれます。
そして、一定の条件下で赤沈の様子をみる検査が「赤血球沈降速度」です。
これは「赤沈値」とも呼ばれます。
日本では、Westergren法という方法で行われています。
正常なとき
正常な血液では、赤血球同士が陰イオンを帯びているため、反発しあいます。
よって、赤血球は凝集塊を作りにくいため、沈降速度が遅くなります。
すなわち、赤沈値は小さくなります。
ちなみに成人男性の基準値は一時間で10mm以下、成人女性は一時間で20mm以下です。
赤沈が亢進する場合
赤沈が亢進する場合(沈む速度が速くなるとき)には、たとえば、つぎの場合があります。
赤血球数の減少
・循環血漿通の増加(妊娠など)
・貧血
フィプリノゲンや、α-グロブリンの増加
・妊娠
・炎症性疾患
免疫グロブリンの増加
・多クローン性増加
・単一クローン性増加(BenceJones蛋白を除く)
赤沈が遅延する場合
赤沈が遅延する場合(沈む速度が遅くなるとき)には、たとえば、つぎの場合があります。
多血症
多血症の場合、へマトクリット値が1.5%増加するごとに、1mmずつ赤沈値は減少します
フィブリノゲンの減少
・先天性無フィブリノゲン血症
・線溶冗進
・DIC
免疫グロブリンの欠損
・無γ-グロブリン血症