輸液製剤について解説します。

輸液製剤は、成分別にみると、大きく3つに分類されます。

  • 電解質のみからなる輸液製剤
  • ブドウ糖のみからなる輸液製剤
  • 電解質とブドウ糖からなる輸液製剤

それぞれ解説します。

電解質のみからなる輸液製剤

電解質のみからなる輸液製剤(いわゆる電解質輸液製剤)は、生理食塩水とリンゲル液とに大きく分けられます。

いずれも、「等張電解質製剤」と呼ばれる輸液製剤です。

等張電解質製剤を経静脈的に投与すると、細胞外液のみを増加させることができます。

より詳しくは、細胞外液のうち15%は間質、5%は血管内に分布しますので、等張電解質製剤を500mL投与すると、間質に375mLが分布し、血管内に125mLが分布します。

生理食塩水

生理食塩水は、0.9%の食塩水です。

NaとClがともに154mEq/Lの濃度になっています。

血漿に比べて、NaもClも濃度が高くなっているため、大量に投与すると、高Na血症や高Cl血症をきたしたり、他の電解質が希釈されてたりしてしまう危険があります。

よって、生理食塩水は、細胞外液の補充のための応急的な輸液として使い、病態が明らかになったら、適切な輸液に切り替える必要があります。

リンゲル液

生理食塩水にKやCaを加えて、生理食塩水よりも細胞外液液の組成に近づけたものをリンゲル液といいます。

現在用いられているリンゲル液には、アルカリ化剤が配合されています。

アルカリ化剤の種類により、リンゲル液は3種類に分類されます。

乳酸を加えた「乳酸リンゲル液」、酢酸を加えた「酢酸リンゲル液」、重炭酸を加えた「重炭酸リンゲル液」です。

乳酸リンゲル液に含まれる乳酸や、酢酸リンゲル液に含まれる酢酸は、体内代謝により重炭酸イオンになり、アルカリ化作用を発揮します。

このため、乳酸リンゲル液や酢酸リンゲル液により、アシドーシスを緩やかに補正することができます。

なお、重炭酸リンゲル液は、重炭酸イオンの供給に生体内での代謝を必要としません。

ブドウ糖のみからなる輸液製剤

5%ブドウ糖液が一般に用いられます。

主に細胞内脱水がある場合に用いられます。

その理由は、5%ブドウ糖液の浸透圧は、約278mOsm/Lであり血漿浸透圧と等張性となっていますが、含まれるブドウ糖が細胞内に移行すると、低浸透圧になり、水分が細胞内に移動するためです。

計算上は、5%ブドウ糖液を500mLを投与すると、水分のうち約40mLは血管内に分布し、約320mLは細胞内に分布します。

なお、細胞内に移行したブドウ糖は代謝されて水に変化します(1molのブドウ糖から6molの水が産生される)。この水は「代謝水」と呼ばれます。

電解質とブドウ糖からなる輸液製剤

高張電解質輸液製剤

上述のリンゲル液に5 %のブドウ糖を加えた製剤や、1 %のブドウ糖を加えた製剤があります。

いわゆる高張電解質輸液製剤です。

低張電解質輸液製剤

生理食塩水と5%ブドウ糖を配合した輸液製剤で、配合割合によって、1号液、2号液、3号液、4号液の四種類があります。

1号液

生理食塩液と5%ブドウ糖液を1:1で配合した輸液製剤です。

Kを含まないため、脱水が明らかな患者の腎機能や血漿K濃度が不明の場合でも比較的安全に投与することができることから、「開始液」とも呼ばれます。

2号液

NaやClの濃度は1号液とほぼ同じで、Kを20〜30mEq/L含むのが2号液です。

リン(P)やマグネシウム(Mg)を加えた2号液もあります。

一般に、2号液は「脱水補給液」と呼ばれますが、1号液の投与によって利尿があった後の低K状態や細胞内電解質の補正を目的に使用されることから、「細胞内修復液」と呼ばれることもあります。

3号液

生理食塩液と5%ブドウ糖液を1:3程度で配合した輸液製剤です。

Naを30〜60mEq/l、Kを10〜35mEq/l、Clを35〜50mEq/l含んでいます。

3号液を、一日あたりの水分の喪失量である約2000ml補給すると、一日のうちに生理的に失うNa、Cl、Kの量(一日維持量)を補給できることから「維持液」とも呼ばれます。

なお、アルカリ化剤として乳酸が配合されているものがあります。

4号液

生理食塩液と5%ブドウ糖液を1:4程度で配合した輸液製剤です。

Kを含有しないため、腎機能の低下した患者や、術後早期の患者に使用されます(いわゆる術後回復液)。