「医者になる夢をかなえたい」という想いを実現させるための時間は限られています。 後悔しないように、できることから実行に移していきましょう。
仕事をどうするか
入試の準備をするとき、一番悩むのが、仕事をやめて、試験勉強に専念するかどうか、だと思います。
編入試験であれば、科目数が少ないので、仕事をしながら対策をすることは可能でしょう。
しかし、一般入試の場合、試験科目が多いので、仕事をしながら対策するのは難しいと思います。
本気であれば、仕事をやめることをお勧めします。
なお、仕事をやめた場合、収入がなくなることが不安要素ですが、雇用保険料を毎月支払っている場合は、辞めた後に失業給付がもらえます。
自ら退職した場合には、給付開始まで、およそ4ヶ月弱かかりますが、月に15~20万程度の収入を、数ヶ月間もらえますので、積極的に利用してよいと思います。
受験方法の種類
一般入学試験
一般入試は、高校生と同じように、高校卒業資格をもとに、センター試験、各大学の二次試験、 場合によっては面接試験を受けるものです。
編入学試験
四年制大学を卒業して学士号を持っている人(卒業見込みの人を合む)には、学士編入という制度があります。
編入の良いところは、通常の学生の2年次や3年次のところからカリキュラムがスタートするため、卒業できるまでの期間が短くなり、時間や学費の節約になることです。
受験の準備について
受験までに、十分な準備をできた人が、合格を勝ち取れます。
準備には、筆記試験対策と、面接試験対策とがあります。
筆記試験
まず初めに行うことは、過去問題の収集です。
大学によって出題される内容は大きく異なっていますので、過去問を見ないことには試験対策も立てられ ません。早めに手にいれ、内容を把握しておく必要があります。
一般入試の場合は、赤本などを購入して、傾向をつかみ、対策を練るのがよいでしょう。
ただし、編入の場合は、簡単には過去問が手に入りません。
ホームページで公開しているところはありますが、多くの大学は、ネットでの公開をしていません。
大学に問い合わせて郵送してもらうか、あるいは、自分で大学まで足を運び、閲覧する必要があります。
自分ひとりでは、資料の収集が難しいと思った場合には、過去問などの情報が充実している予備校に通うという方法もあります。
過去問が入手できたら、各科目の勉強スケジュールを立てます。
もっとも大変なのは、試験に英語がある場合で、社会人が英語の試験で合格ラインに達するためには、最低でも半年以上の期間をかけて勉強しないといけない場合が多いようです。
なお、数学・理科などの理系科目がある場合、文系出身者の場合には、基礎から学び直さないといけないため、さらに長い準備期間が必要になります。
また、小論文試験がある場合、医療に関するな基本的な知識も必要です。
たとえば、近年の医師不足に関する問題や、病院のあるべき姿といった問題について、知識を入れておく必要があります。
面接試験
面接試験突破のためには、学校の情報を収集することと、それらの情報から志望動機を練ることが重要です。
大学のカリキュラム、教員の研究内容などを、ある程度把握しておきましょう。
情報収集の最も簡単な方法は、インターネットを利用することでしょう。
大学のウェブサイトはもちろん、学科や教員などがサイトを公開している場合には、それらも隅々まで目を通しておいた方がよいと思います。
小論文対策
小論文の傾向
小論文は、一部の大学で選考科目となっています。おもに、いまの医療制度が直面している問題点について、意見を聞かれる場合が多いようです。出題傾向は、各大学により、様々なようです。
全般的な出題の仕方の傾向としては、
・「~について知る範囲でまとめなさい。そして、それについて自己の意見を述べよ」
・「~に関する問題点を見つけ、○○について述べよ」
などの条件付きの小論文が増えていると言われています。
解答文の文字数については、罫線が引かれただけの用紙を配付し、特に制限を設けない大学もあるようですが、800~1200字程度が一般的のようです(もっと多いかもしれません)。
ただし、最近は300字程度の短い解答文を複数書かせる場合などもあるようで、多様化しているといえるでしょう。
志望校の過去問題をチェックし、傾向を知っておくことが必要です。
小論文の書き方
出題形式が多様化している小論文ですが、4部構成による基本的な書き方を身に付けていれば対応可能といわれています。1~4部は、つぎの内容にします。
第一部
まず、書き出しで、「○○は正しいか」、「○○を進めるべきか」などのイエス・ノーで答えられる問題提起をします。
※イエス・ノーでの問題提起を作りにくい場合には、第1部に結論を書きましょう。この場合、「○○だろうか」のように曖昧に書くのではなく、「○○すべき である」のように、冒頭ではっきりと断定的に書くのがコツです。
第二部
問題提起したものについて、自分の意見はイエスなのかノーなのかをキッパリと書きます。あいまいに書いてはいけません。
そして、主張した意見の根拠を示します。ここが小論文を盛り上げる部分です。
出題されそうな事柄についてのネタを仕入れておいて、それを絡めて展開しましょう。
問題の内容によっては対策を示したり、制度の変更などの提言をすることもできます。
第三部
自分の意見と反対の意見を書きます。さらに、その反対の意見の根拠を書きます。
そして、その理論の問題点をつき、さらに自説を展開します。
自分の意見を書く書くときのポイントは、「確かに~という意見もある。しかし、この意見は~であるから、採用できない。」というパターンを用いて、他者の意見に耳を傾ける姿勢を答案に表すことです。
この書き方により、視野の広さを示すことができるます。さらに、文章量を増やせるというメリットもあります。
ここが小論文のヤマ場です。
第四部
結論を書きます。「~と考える」としめくくればよいでしょう。
文章に実際に書くときは、第一部~第三部までの流れを、「以上述べたように、~である。よって、~と考える。」というように、簡単にこれまでの文章をま とめてから、結論を書くとよいでしょう。
使える知識・事柄を集める
ふだんから、医療に関する問題点を知識として頭に入れておくことが大事です。
医者目線からの意見に加えて、患者からの意見など、幅広くいろいろな意見に目を通しましょう。
一つの問題をみたとき、賛成意見と反対意見の両方を考えてみるのが良いトレーニングになります。
賛成・反対意見を考えることで、発想力・論理力がついていくでしょう。
例えば「禁煙にすべきか」という問題なら、「喫煙は迷惑」というような意見ではなく、「自己決定権」という展開に関連させて、喫煙への賛成意見が構築で きるかどうかを考えてみるのです。さらに、「喫煙者にかかる医療費」という観点から、「自己決定権」を根拠とする主張に対して反対意見を構築できないか、 考えてみるのです。
少し突飛かと思われる結論でも、それを説得的に提供できるような理由を考えだせるようになれば、実力アップになりますし、読む側にとっても、面白い小論 文を提供できる力をつけることができるでしょう。
英語対策
ここでは、編入試験の英語の試験について述べます。
医学部では、入学後に、急に英語を読む機会が増えるわけではありませんが、素養として英語の試験を課すところが多いようであり、長文の読解力や、意味の理解が問われます。
出題テーマについては、必ずしも、医療分野の出題が出されるわけではないようです。
国立大学の医学部など、入学志望者の平均レベルが高い大学ほど、選択問題よりも記述式が多い傾向にあります。
長年英語から離れていた社会人にとっては、入学試験に英語があるだけで不安に感じたり、やる気を失ってしまいがちですが、それは非常にもったいないです。
英語でむずかしく感じるのは、日本語と語順が違うことなのでしょうが、まずは自分の今のレペルを客観的に把握することからはじめましょう。
たとえば、最低限必要となる初歩的な英文法を忘れているなら、英文法に関する基礎レベルから解説した本で、基本から学び直すのがいいと思います。そのうえで、次第に長い英文に触れていくのをおすすめします。
初めは困難に思うかもしれませんが、一度でも英語教育を受けた人ならば、少し勉強すればすぐに感覚を取り戻せるはずです。
大学受験のように、難解な文法問題が出題されるのなら勉強は大変でしょうが、大学院入試の場合は、書いてあることから意味を把握する能力(読解力)が問われます。
読解に必要な英文法を中心に効率的な勉強をすれば、おのずと力がついてきます。
あとは、英文で書かれた入門書を読んだり、英文による時事ニュースを読むなどして、ふだんから英語に触れるようにしておきましょう。
効率的な勉強法
文法、構文
文法や構文の勉強は、ある程度基本的な段階を押さえましょう。文法は、読解で必要となる文法に絞って勉強することが重要です。
和訳
日本語の勉強も大切です。訳した日本語が意味不明では評価してもらえません。専門書を何冊か読み、経済なら経済、心理なら心理の最新の話題を押さえてお きましょう。
そうすれば、英文に書かれている内容を推測して読むことができます。
読み込み
論文や著作をどれだけ読んでいるかは重要です。英語に自信がある人は英語の長文から始めてもよいでしょうが、抵抗感のある人は日本語から始めるとよいで しょう。
英字新聞なら、ニュースと英語の勉強に役に立ちます。最近は新聞社のホームページに英文のサイトも用意されているので、参考にするとよいでしょう。自分の関連する記事だけを読むことができ、さらに日本語と英語で同じ記事を読むことができるので、自分の理解がまちがっていないかどうか、確認できるからです。
先に日本語の記事を読んでおけばどんなことが書いてあるのかが分かるので、文法などの知識がなくても英語の表現文法が、次第に分かってきます(ただし、 日本人が書いた英語かもしれないので、信じきらないことも必要です)。
アンテナをはる
専門分野だけでなく、世の中の最新動向にも目を向けておかなければいけません。
学際的な話題が出題される場合もあるので、総合的な知識を身に付けておく のにも役に立つでしょう。
面接試験対策
面接試験の重要度
一般入試の場合
面接は、筆記試験の合格者を対象として行うことが多いようです。
受験者の大半が高校生ということもあり、面接試験の対象者は、合格予定者よりも、数名、 多く設定されます。
これは、ほんの数名を落とすための試験だからであり、基本的に、面接は「通す試験」となります。
このような性質の試験であるため、社会 人の場合であっても、よほどのことがない限り、まず受かります。
編入学試験の場合
大半の受験者が社会人ということもあり、面接は、「落とす」試験です。
専門科目、志望理由書、面接で合否が決まることが多いので、面接は重要なポイントの一つとなります。
面接試験の目的
医学部入試の面接は、志望理由書の内容について尋ねられることが多いようですが、願書に記載した学歴・職歴などを含めて、提出した書類の内容について質 問されると考えておきましょう。面接は、人物を見る試験であり、その人物が試されます。
面接の場では、どういう経歴の人物なのか、どういう性格の人物なのか、対話能力があるか、論理的な思考力があるか、相手の質問の意図を理解する力があるか、矛盾のある言動をとるような人物ではないか、などがチェックされます。
医学部という場で、教員や、あるいは、学生同士で交流し、対話し、議論し、研究していけるかどうかが見られるのです。
面接で聞かれること
面接で質問されることを大きく分けると、志望動機、職歴、その他の大学の受験の有無などです。
志望動機については、どんな理由で医者を目指しているの か、理由を答えることになります。
職歴については、どのような仕事をこなしてきたのか、社会人としっての成熟さが確認されます。
その他の大学受験の有無については、他の大学を受験しているかを聞かれ、入学意思を確かめられます。
面接試験での注意点
社会人の場合、面接で自分の今までの仕事経験を延々と話す人がいますが、それは必ずしもよいとはいえません。
仕事での体験が、志望動機と結びついているかどうか、あるいは、医者の業務に活かすことができるかどうか重要なのです。
ストーリーがつながるなら良いのですが、そうでなければ社会人経験を披露して もあまりプラスに作用することはありません。
面接では、ありのままの自分で臨み、自分の本当の志と、情熱とを理解してもらうように心掛けるとよいでしょう。
医療の現状や、なりたい医師像については、自分白身の考え方を練っておく必要があるでしょう。
面接の場で突然、質問されても、的確に対応できるよう用意しておきましょう。
医学部のある大学
ここで参考に、医学部のある大学を紹介します。
・北海道(旭川医科大学、札幌医科大学、北海道大学)
・青森県(弘前大学)
・岩手県(岩手医科大学)
・宮城県(東北大学)
・秋田県(秋田大学)
・山形県(山形大学)
・福島県(福島県立医科大学)
・東京都(杏林大学、慶應義塾大学、昭和大学、順天堂大学、帝京大学、東京医科歯科大学、東京大学、東邦大学、日本大学)
・神奈川県(麻布大学、聖マリアンナ医科大学、横浜市立大学、東海大学、北里大学、慶應義塾大学)
・埼玉県(埼玉医科大学)
・千葉県(千葉大学)
・栃木県(自治医科大学、獨協医科大学)
・群馬県(群馬大学)
・山梨県(山梨大学、昭和大学)
・新潟県(新潟大学)
・長野県(信州大学)
・富山県(富山大学)
・石川県(金沢医科大学)
・福井県(福井大学)
・愛知県(愛知医科大学、名古屋市立大学、名古屋大学、藤田保健衛生大学)
・岐阜県(岐阜大学)
・静岡県(浜松医科大学)
・三重県(三重大学)
・大阪府(大阪医科大学、大阪市立大学、大阪大学、近畿大学)
・京都府(京都大学、京都府立医科大学)
・滋賀県(滋賀医科大学)
・奈良県(奈良県立医科大学)
・和歌山(和歌山県立医科大学)
・鳥取県(鳥取大学)
・島根県(島根大学)
・岡山県(岡山大学)
・広島県(広島大学)
・山口県(山口大学)
・徳島県(徳島大学)
・香川県(香川大学)
・愛媛県(愛媛大学)
・高知県(高知大学)
・福岡県(九州大学、久留米大学、福岡大学)
・佐賀県(佐賀大学)
・長崎県(長崎大学)
・熊本県(熊本大学)
・大分県(大分大学)
・宮崎県(宮崎大学)
・鹿児島(鹿児島大学)
・沖縄県(琉球大学)
編入試験制度のある大学
さらに、編入学試験制度を設けている大学は、以下の通りです(順不同)。
・東京医科歯科大学
・千葉大学、筑波大学、群馬大学
・大阪大学、神戸大学、滋賀医科大学、
・名古屋大学、浜松医科大学、 藤田保健衛生大学、東海大学、愛知医科大学
・信州大学、新潟大学、金沢大学、富山大学、福井大学、金沢医科大学
・岡山大学、島根大学、鳥取大学、山口大学
・愛媛大学、 香川大学、高知大学
・長崎大学、大分大学、鹿児島大学、琉球大学獨協医科大学
・北海道大学、旭川医科大学、弘前大学
・北里大学、杏林大学、聖マリアンナ医科大学
その他:研修医の1年目の年収
厚生労働省の「臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ(WG)」にて、臨床研修病院における研修医の処遇ならびに臨床研修の修了状況についての調査結果を報告されました。
それによると、 研修医1年次の推計年収の平均値は、約435万円だそうです。
ここでいう推計年収は、研修医の業務量、住居、通勤経路、家族構成にかかわらず支払われる給与とのことで、賞与(ボーナス)をも含む額となっています。
ただし、住宅手当や残業代などは含まれていないとのことです。
なお、大学病院研修医の推計年収の平均は、約300万円(114施設)、臨床研修病院では、約450万円(924施設)であるそうです。
ちなみに最高額は約960万円、最低額は約180万円で、施設によって大きながあるようです。
試験対策にZ会
Z会で、医学部入試の対策ができるのか確認するため、ウェブで「大学受験生向けコース」の資料請求をしてみました。
だいたい3日くらい経過したところで、ポストに封筒が入ってました.。
封筒の中をあけてみると、いろいろ入ってました。
・入会案内書 1冊(全56ページ)
・教材見本 1冊(全28ページ)
・Z会の映像コースの案内
・そのほか別の講座の案内など
入会案内書をひらいてみると、
・センター試験対策の講座(センター演習コース)
・二次試験対策の講座
がありました。
二次試験対策の講座には、医学部を受験する人のための講座がありました。
具体的には、医学科受験生のため、ふつうの講座とは別に、
・「医学科英語」
・「医学科数学」
・「医学科物理」
・「医学科化学」
・「医学科生物」
の5講座があるようです。
また、「医療系小論文」という講座もあり、小論文対策もできるようになっていました。
本気で医学部を目指すなら、多少のコストを払ってでも、「Z会」を利用しましょう。
受講生にとって肝心な料金についてですが、資料をみたところ、「医学科英語」などの講座を一つ受講するのに、1900円~5400円かかります(一か月あたりの料金)。
料金に幅があるのは、いろんな受講形態があるからです。
たとえば、(1)テキストだけ送ってもらうプランが一番安く、(2)さらに答案の添削サービスの特典をつけた場合、あるいは、(3)Webで講義映像を見ることのできる特典をつけた場合は、料金がすこし上乗せされます。
※現在は異なる料金設定かもしれません。
なお、センター演習コースと一緒に申し込んだり、複数の講座をとったりすると、一か月あたり600円~1260円、全体の金額が割引されるようです。