血清アルブミンの測定法と、測定法によるデータの違いについて紹介します。
測定法
現在において主流の血清アルブミン測定法は、2つに大別されます。
BCG法(1970年代~)と、BCP改良法(1997~)です。
BCG法
BCG改良法は、ブロモクゾールグリーンを使用した測定法です。
簡便で、安価な測定法で、古くから利用されています。
しかし、グロブリンを測り込むので、測定値は、常に、本来のアルブミン濃度よりも高くなります(偽高値)。
BCP改良法
BCP改良法は、ブロモクレゾールパープルを使用した測定法です。
名前の通り、BCP法を改良した方法です。
BCP法では、血清の保存中にメルカプトアルブミン(HMA)とノンメルカプトアルブミン(HNA)の変換によって起こるメルカプトアルブミンの減少が測定値の上昇をもたらす点が問題でしたが、それが改善されています。
また、グロブリンを測り込まないため、アルブミンを特異的に測定することができます。
すなわち、BCG法と比較して、血清アルブミン濃度を、より正確に測定することができます。
ただし、ペニシリンGを経静脈的に大量投与している患者の場合、ペニシリンGが測定系に影響を与え、測定値が低下することがあります(偽低値)。
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BCP改良法は、日本でのシェアは高いものの、世界的に見れば、BCG法が主流です。
BCP改良法の測定値を、BCG法の測定値に換算する方法
様々な診断基準や指針で用いられているアルブミン値は、主にBCG法によるものです。
たとえば、肝障害度を表すChild-Pugh分類や、ネフローゼ症候群の診断基準、栄養評価に使うCONUT法などで、アルブミン値が用いられていますが、いずれもBCG法を前提としています。
BCP改良法で測定したアルブミン値を、どのように、BCG法を前提とした診断基準や指針に当てはめるかが問題となります。
ここで、日本臨床検査医学会は、この問題について、一応の解決策を提言しています(2014年)。
それは、BCP改良法の測定値に、0.3g/dlを加算することで、BCG法の測定値とみなす方法です。
BCP改良法によるデータは正確性が高いにも関わらず、正確性の劣るBCG測定法を前提とした診断基準や指針を使うために「0.3」を加算するというのは、せっかくのBCP改良法の正確性の高さを無駄にしてしまう結果となりますが、この点は仕方がありません。換算後のデータは、あくまでも参考として考えることが重要です。
測定法の標準化
アルブミンの測定法については、「血清アルブミン測定の標準化に関する提言」が2019年4月25日付けで出されています。
そこでは、『最も基本的な性格検査のひとつである血清アルブミンに関して、その標準化を推進し、検査結果の互換性を高めるため、わが国の全ての検査施設においてBCP改良法アルブミン測定法として採用すべきである』と述べられています。
診療報酬
この提言を受けてか、診療報酬の改定により、BCG法には点数が付かなくなることとなりました。