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部下のやる気を引き出す育成・指導

やる気のない部下に、イライラした経験はないだろうか。

ここでは、部下をもつビジネスマン/ビジネスウーマンが知っておくとよいモチベーションの考え方と、リーダーシップについて紹介する。

理論の実践は難しい

部下に「やる気」を出させるとは、すなわちモチベーションを高める方法である。

モチベーションを高める方法は、これまでに、上司のリーダーシップと絡めて、さまざまな理論が提唱されている。

書店でビジネス書のコーナーに行けば、そのような理論を書いた書籍を見ない日はない。

これらの理論は、ざっくりといえば、「未来の自分をイメーシする」、「仕事を自分なりに工夫して楽しむ」、「がんばって成長する自分を楽しむ」などである。

部下を持つビジネスマン/ビジネスウーマンの中には、そういった本に書かれた理論を参考にされている方は多いだろう。

そして、部下に対して、仕事の目的の説明と、本人にとっ てのメリットを説明するなどして、『なんとかして部下のやる気を引き出そう』と苦労していないだろうか。

たしかに、そのような理論には、参考になることが多く含まれている。

しかし、いざその理論を実戦すると難しいと感じたり、失敗に終わってしまったりしたことはないだろうか。

思うに、その原因は、そういった理論は抽象度が高く、個別具体的ではないからだ。

つまり、自分の置かれた状況が全く織り込まれていないので、そのまま自分にあてはめることが容易ではないのだ。

また、ときには理論そのものが難解で、内容を理解できないことすらある。

そもそも、理論の提唱者にリーダーシップがあるのかどうかすら、自分では判断できないのに、その理論を信じていいものだろうか。

学者などによる理論を否定するわけではないが、どうせ信じるのなら、自分と似たような境遇で、優れた実践を成し遂げた人が語る経験談を聞き出したほうが良いのではないだろうか。

やる気の維持

モチベーション(動機付け)になるものとしては、たとえば、キーワードで挙げれば、「自己達成」、「自己実現」、「自己成長」、「取り組み自体の楽しさ」、「役立ち感 」、「報酬」、「承認」、「出世」などがある。

人は、これらをやる気の源にして努力をつづける。

しかし、成果を出したところで燃え尽きてしまい、そのあと、まったくやる気が出なくなることがある。

いわゆる「燃え尽き症候群」で、バーンアウトとも呼ばれる。

スポーツ選手などに見られることで有名だ。

頂点を極めるまで頑張り抜いた人でも、ずっとやる気を維持するのは難しいのである。

ましてや普通の人間は、やる気の源は、キャリアが進むにつれ変わっていくのが普通だ。

高収入に魅力を感じて入社した社員が、のちに、収入はどうでもよくなり、会社での良好な人間関係がモチベーションになることがある。

また、プライベートを通じても、働く目的が変化していく場合がある。

はじめは「金銭」、結婚したら「家庭」、子供が生まれれば「子育て」、子供が成人したら「老後」のように。

長いあいだ同じように仕事へのやる気を発揮しつづけるのはとても難しいのである。

自己調整

このように、維持の難しい「やる気」だか、そこで大切なことが「自己調整」である。

自己調整ができる人とは、自分で自分のやる気を調整できる人のことだ。

具体的には、自分のモチベーションの源泉を理解しており、そして、自分のモティベーションが低下したときに、なぜそうな ったのかを自己診断し、またモチベーションを高められる人間だ。

部下の育成指導

本論に入ろう。

会社員である以上、部下たちも、自分で自分のやる気を調整できるべきだ。

しかし、現実には、自分でやる気を調整できる部下は稀であり、いたとすれば貴重な存在である。

多くの部下は、上司がなんらかの方法でモチベーションを高めてやる必要があり、そこにはリーダーシップが必要になる。

部下がやる気を出すリーダーシップ

どうすれば、部下にやる気を出させることができるか。

すでに述べたように、人は、やる気に波がある生き物であるし、キャリアの時期によって、やる気の源は変わっていく。

したがって、単に自分のモチベーションを語るだけでは、ざざまな部下のやる気を引き出すことはできない。

例えば、上司が顧客の満足に情熱を注ぐタイプで、いつも顧客のことを考えることでモチベーションを自己調整してきたとする。

しかし、その上司が、10人 いる部下の全員を、自分と同じタイプの人間だと思ってしま うと、その動機を押し付けることに繋がってしまいかねない。

その場合、たとえば金銭的なものを求める部下たちのやる気を引き出すことはできない。

つまり、部下を持ったビジネスマン/ビジネスウーマンは、それぞれの部下に合わせて、やる気をうまく出させる方法を持つことが必要となる。

そこで重要なのが、それぞれの部下に、どのような欲求があるのか、個人差を知ることだ。

すなわち、部下それぞれの、仕事へのモティベーションを聞き出すための対話をすることが大切だ。

また、自分の周囲の人に、部下のやる気を引き出すことができた体験談を聞くこともよいだろう。

そうして、どうすれば人を動かせるのか、自分なりの理論を構築してほ強い。

そのうえで、部下たちと、自分が構築した理論を共有するのである。

また、部下とのコミュニケーションを通じて得られた意見やニーズを吸い上げ、チーム(組織)としての制度設計に活かしていく。

こうして作り上げた環境は、部下たちの行動につながり、そのことを通じ、チーム全体が活気に満ちたものになるだろう。