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妊婦加算の代わりにできた診療情報提供料(Ⅲ) 150点

コロナの騒動の中で改定された診療報酬。

その中でも、ちょっとだけ注目なのが、診療情報提供料(Ⅲ) 150点です。

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000605491.pdfより

[算定要件]のところに、こうあります。

(1) 他の保険医療機関から紹介された患者について、他の保険医療機関からの求めに応じ、患者の同意を得て、診療状況を示す文書を提供した 場合に、提供する保険医療機関ごとに患者1人につき3月に1回に限り算定する。

(2) 妊娠している患者について、診療に基づき、頻回の情報提供の必要性を認め、患者の同意を得て、当該患者を紹介した他の保険医療機関に 情報提供を行った場合は、月1回に限り算定する。

(2)に注目です。

これは、過去に問題となった「妊婦加算」に置き換わるものなんですね。

妊婦加算とは

「妊婦加算」は、平成30年の診療報酬改定の改定で追加された制度です。

「妊婦への慎重な対応」や「胎児への配慮」に対するインセンティブを医療機関に与える目的で導入されました。

 

内容ですが、初診料に75点(750円)の加算、再診料38点(380円)の加算とされていました。

当時は、妊婦さんの自己負担額が増えたということです。

妊婦加算の凍結
はじめは「うまくいくかも」と思われていたようですが、、、

この妊婦加算、ある時から凍結(一時停止)されました。

理由は、妊婦に加算分を負担させたことから「事実上の妊婦税だ」「少子化対策と逆行する」という非難の声がネット上で大きくなったからです。

とくに、産婦人科以外の科(たとえば眼科)にかかっても「妊娠というだけで,お金をとられる」という事例が目立ち、制度への疑問の声が多く上がったのです。

ただし、これについては、実は、厚労省が、疑義紹介資料において、「妊娠に直接関連しない傷病(感冒等)について診察を行った場合にも算定できる」という事務連絡をしていた等の事情があるので、医療機関が悪いわけではないのです…。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000202132.pdfより

その後、妊婦加算のあり方について、改めて中央社会保険医療協議会で議論されることになりました。

そして、昨年の12月、この妊婦加算は廃止が決まり、同時に、代替案として、妊婦に限らず、患者の同意を得た上で、医療機関同士が治療内容や検査結果について情報共有した場合に加算する仕組みを新設することが決まったのです。

というわけで、上記の診療情報提供料(Ⅲ) 150点は、今年の4月から実施されることになたわけです。

(参考https://www.sankei.com/life/news/191220/lif1912200018-n1.html )

制度設計の難しさが分かる事例でしたね。