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サルモネラ症の症状、診断、治療

サルモネラ症

サルモネラは、グラム陰性、通性嫌気性の桿菌で、腸内細菌科に属する菌です。

サルモネラを大きく分けると、チフス、パラチフス、その他のサルモネラがあります。

サルモネラ症とは、チフスやパラチフス以外のサルモネラ菌の感染により引き起こされる感染症です。

サルモネラ症を引き起こす病原体として主に問題となるの はSalmonella enterica subsp. entericaです。

参考:サルモネラの種類

サルモネラは、2菌種6亜種が存在します。

さらに、サルモネラは60種類以上の菌体表面抗原(O抗原)と80種類もある鞭毛抗原(H抗原)の組み合わせによって2,500種類以上の血清型が存在しています。

症状

サルモネラ症で多いのは食中毒で、日本の食中毒発生状況で常に上位に位置しており、食品衛生上重要な病原体です。

症状としては、急性発症の発熱、腹痛、下痢が典型例ですが、嘔吐や血便を伴うこともあり、合併症として菌血症や感染性動脈炎があります。

発症は、95%以上が食事由来です。

卵や、卵の加工食品、調理不十分な肉などが原因となっています。

潜伏期間は、摂取から12~72時間です。

診断

症状から、サルモネラ症と他の感染性腸炎と鑑別することは難しいです。

便の培養の結果で、チフスやパラチフス以外のサルモネラ菌を検出して診断します。

鑑別を要するのは、赤痢菌、カンピロバクター、エルシニア、赤痢アメーバなどです。

敗血症も調べるため、不明熱が続く患者や、ハイリスク患者では、血液培養も採取すると良いでしょう。

治療

抗菌薬の投与、脱水の補正、プロバイオティクスの投与が主な治療となります。
サルモネラ菌には、耐性菌は確認されていないため、一般的な内服薬で足ります。

ニューキノロンが適当で、シプロキサンなどを5日間投与するのが基本です。

ただし、血液培養陽性例や免疫不全者では、二週間程度の治療が勧められます。

法律

サルモネラによる胃腸炎は、感染症法の5類疾患である「感染性胃腸炎」に含まれます。

食中毒の場合は、食品衛生法で、ただちに最寄りの保健所に届出を行うこととなっています。