平成30年の診療報酬改定の改定で追加された「妊婦加算」。
「妊婦への慎重な対応」や「胎児への配慮」に対するインセンティブを医療機関に与える目的で導入されました。
わたしの働く病院でも話題になり、『妊婦さんへ配慮しよう』などと院内でアナウンスされていました。
内容ですが、初診料に75点(750円)の加算、再診料38点(380円)の加算と規定されました。
妊婦さんの自己負担額が増えたということです。
妊婦加算の凍結
うまくいくかと思われたこの制度、、、
ご存知の方もいるとは思いますが、この妊婦加算、昨年の1月から凍結(一時停止)されました。
理由は、妊婦に加算分を負担させたことから「事実上の妊婦税だ」「少子化対策と逆行する」という非難の声がネット上で大きくなったからです。
とくに、産婦人科以外の科(たとえば眼科)にかかっても「妊娠というだけで,お金をとられる」という事例が目立ち、制度への疑問の声が多く上がったのです。
ただし、これについては,実は,厚労省から医療機関へ、「どの診療科でも算定できる」「妊娠に直接関連しない傷病(感冒等)について診察を行った場合にも算定できる」という通知をしてしまったので、医療機関だけが悪いわけではないのですが…。
その後、妊婦加算のあり方について、改めて中央社会保険医療協議会で議論されることになりました。
妊婦加算の廃止へ
そして、先月(昨年の12月)、この妊婦加算は廃止が決まったそうです。
代替案として、妊婦に限らず、患者の同意を得た上で、医療機関同士が治療内容や検査結果について情報共有した場合に加算する仕組みを新設する方針。中医協で了承されれば、具体的な上乗せ額を決め、来年4月から実施するそうです。
制度設計は難しいですね。