子宮頸がんワクチンの副反応問題-これまでの経過と感想

子宮頸がんワクチンについて、調べてみました.

子宮頸がんワクチンは,HPV(ヒトパピローマウイルス)が子宮頸がんを引き起こすという,2008 年にノーベル医学・生理学賞を受賞した画期的発見をもとにした,人類史上初のがん予防ワクチンです.

子宮頸がんワクチンが,HPVの感染を予防する仕組みは,ワクチン接種により誘導されたHPV抗体が,子宮頸部の粘膜に滲出することで,HPVと結合し,HPV 感染を阻害すると考えられています.

この子宮頸がんワクチンは,WHOも接種を強く推奨し,世界約140か国で使用され,約80か国で定期接種となっています.

日本でも2013年4月に定期接種となりました.

しかし,日本では,子宮頸がんワクチン接種の開始後,副反応と思われる多様な症状がみられました.

そして,メディアには,「歩けない,痙攣する,生理不順,体が痛い,まぶしい,勉 強ができなくなった」といった症状が,子宮頸がんワクチンのせいであると訴える人たちが現れ,テレビで繰り返し放送されました.

激しくけいれんする女の子の映像は衝撃的で,日本社会は,あっという問に,「子宮頸がんワクチンは危険」という認識が広がりました.

これを受けてか,わずか開始から2カ月後の6月には,厚労省は,積極的な接種の呼びかけを中止しました.

それから何年も経過していますが,積極的な接種の呼びかけは再開されていません.

なお,対象となる女子(中学1年から高校1年,自治体により異なる可能性がある)は,現在も,公費助成を受けて,ワクチンの接種は可能です.

※現状のざっくり把握はこちらをどうぞ.

NHK:子宮頸がんワクチンのいま

ちなみに,集団訴訟にも発展しています.

こんな子宮頸がんワクチンですが,気になったので,安全性に関することを調べてみました.

子宮頸がんワクチンの安全性

まず,「子宮頸がんワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究(祖父江友孝班)」によると,子宮頸がんワクチンを接種していない場合でも,子宮頸がんワクチン接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を呈するものが一定数存在するとの結果が報告されていました.

さらに,世界保健機関(WHO)のワクチン安全性諮問委員会は,「日本の若い女性は,本来予防が可能であるHPV関連がんの危険にさらされたままになっている.レベルの低い科学的根拠に基づく政策決定は,安全でかつ有効なワクチンを接種する機会を奪い,若い女性に真の被害をもたらし得る.」との声明を発表しています(平成27年12月).

また,日本産科婦人科学会は,科学的見地に立って,子宮頸がんの予防戦略において HPV ワクチンと検診の両者は共に必須であるという考えのもと,これまでに,HPVワクチン接種の積極的勧奨の再開を国に対して強く求める声明を繰り返し発表しています.

▶日本産科婦人科学会

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種の早期の勧奨再開を強く求める声明

これまでの経過は,こちらの図がわかりやすいでしょう.

子宮頸がんワクチンの副反応問題-これまでの経過と感想
東京新聞より引用

感想

以前は過熱していたマスコミの報道も,落ち着きましたし,以前は,「子宮頸がんワクチン=悪者」という感じに偏っていた報道のスタンスも,以前とは少しずつ変わってきているように思います.

積極的な接種の呼びかけを再開すべきかどうかは,難しい問題だなぁと感じますが,子宮頸がんワクチンの副反応の病態解明についての研究も進んでいるようです(ワクチン接種による続発性の自己免疫性脳症という説があるようです).

副反応に苦しむ人達が少数いることは事実ですから,そういった人たちへの有効な治療法の開発が望まれます.