同一労働・同一賃金については、よく分からないことが多い。
言葉のもつ意味の幅がとても広いため、話の意図することが理解できないことがある。
まず、ここでいう「労働」とは何か。
- 同じ時間をかけること?
- 同じ成果を出すこと?
そして、同一賃金とは何か。
- 同じ月給のこと?
- 同じ時間給のこと?
- 手当やボーナスは含めて考える?
この言葉を使う人と、自分とで、捉え方が違うと話の意味が分からなくなってしまう。
このように、いまいち、同一労働同一賃金について良くわかっていなかったのだが、最近、色々な議論を聞いていて、なんとなく分かってきたことがある。
これは、非正規雇用者と、正規労働者との間で、格差を無くそうということのようである。
たとえば、同じスキル、同じ職歴があれば、非正規と正規とで、時給は同じ金額にするということである。
そして、ベース(基本給)の昇給については、正規職員と同じ賃金カーブをあてはめて換算する。
ただし、正規職員にのみ支給されるボーナスなどの手当は含めずに考える。
これは、手当などは単なる「報酬」と考え、給与(労働の対価)としては考えないからだ。
この制度が実現されると、非正規の時給は正職員に合わせるように上がるように思える。
しかし、これには簡単な抜け道がある(と思う)。
同じ仕事をする正職員を、職場に配置しなければよいだけなのだ。
仮にいたとしても、正職員は管理業務の一部を担っていると言われれば、否定できない。
では、このような抜け道を防ぐには、どうすればいいのだろうか。
この制度を実行するには、諸外国のように、正規と非正規の区別をなくしたら良いと思う。
目的は非正規の待遇改善であろうから、最初の一歩としては、シンプルに、「最低賃金のアップ」でよいのではないだろうか。
複雑な問題を取り上げて議論することで、かえって、かんたんに解決できる問題への着手が遅れてしまう。
年俸制に移行し、労働者は会社と個別に職務内容を契約書で明確にして労働契約を交わすようするのも、ありかもしれない。
追記(別記)
別の観点で、こんなことを考えたことがありました。
最近話題になっている同一労働・同一賃金ですが、ほかにも、なかなか難しい問題を孕んでいそうなのです。
同一労働・同一賃金の盲点
これは、非正規と正規の待遇が違いすぎる現状を解決しようとするものですが、実は盲点があるのではないでしょうか。
それは、同じ会社に所属していることが前提となっていることです。
たとえば、隣に座っている人が、別の会社に所属している人であれば、この制度は当てはめられません。
子会社などの別会社に所属させた社員を、表向きは派遣や出向などという形にして自社で働かせるといった抜け道を実際にやる企業が増えそうです。
派遣会社の利用が増える?
この制度のもとでは、人件費を抑えたい会社が派遣会社を利用する機会が増えたりしないでしょうか。
それに伴って、派遣の求人が増え、派遣社員の増加につながる恐れがあります。
不安なのは、将来的に非正規の中で格差が生じることです。
きちんと同一労働・同一賃金で処遇される人と、制度の隙をついて低い待遇のまま取り残される人とが発生しては良くありません。
派遣法の改正もあるため、影響を見守っていく必要がありますね。