近年、バシラス属菌によるビーフリード(末梢栄養輸液)に関連したCRBSI(カテーテル関連血流感染症)が注目されています。
ビーフリード・・・ビタミンB1・糖・電解質・アミノ酸液
バシラス属菌と菌血症(血液培養の結果の解釈)
バシラス属菌は、ほこり・土壌・汚水など、自然界に広く分布する菌ですから、血液培養で検出されても、通常は、汚染菌と考えるのが一般的です。
たとえば、血液培養(4本(2セット))を採取した時、
- 4本中1本にバシラス属菌が発育
- 一箇所の採血部位からの2本にバシラス属菌が発育
このような陽性パターンでは、皮膚からの汚染を疑います。
実際、このようなケースは多くあります。
ただし、
- 二箇所の採血部位からの2本にバシラス属菌が発育
- 4本中3本にバシラス属菌が発育
- 4本中4本にバシラス属菌が発育
このような陽性パターンでは、起炎菌ではないかと疑います。
バシラス属菌とビーフリード
バシラス属菌は、ビーフリードでよく発育するという報告があります(詳細は、松江市立病院『各種輸液におけるB.cereusの増殖性の違いについて』医学検査 62(1): 111-116, 2013.)。
バシラス属菌によるビーフリード(末梢栄養輸液)に関連したカテーテル関連血流感染症を疑ったときは、診断のため、血液採取は 2 セット以上採取します。
可能であれば感染していると疑われるカテーテルから 1 セット、末梢静脈から 1 セット(もしくは2セット)採取します。
バシラス属菌によるCRBSIの確定診断
「少なくとも 1 つの経皮的に採取された血液培養が陽性」であり、「カテーテルから採取した血液培養が陽性」 または 「カテーテル先端培養が陽性」の場合に、CRBSIと診断します(日本感染症学会/日本化学療法学会 感染症治療ガイドラインより)。
末梢静脈カテーテルのCRBSI発生率
ちなみに、カテーテルごとの CRBSI 発生割合が検討されています。
末梢静脈カテーテルにおけるCRBSIの頻度 (件数/1,000 カテーテル 留置日)は、0.5でした。
出典:200件の公開された前向き研究のシステマティックレビュー
Maki DG, Kluger DM, Crnich CJ:The risk of bloodstream infection in adults with different intravascular devices;a systematic review of 200 published prospective studies. Mayo Clin Proc 81:1159-1171, 2006