ST合剤によるSIADH発症メカニズム

バソプレシン分泌異常症(syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone:SIADH)による低ナトリウム(Na)血症は医薬品の副作用で生じる場合がある。

※SIADHとは、抗利尿ホルモンのバソプレシンの異常分泌により低ナトリ ウム血症を生じる疾患である。

スルファメトキサゾール/トリメトプリム配合剤(sulfamethoxazole/trimethoprim:ST合剤)は、低用量で、ステロイド(例えばプレドニゾロ ン(prednisolone:PSL))による感染症予防にも用いられる。

ST合剤による代表的な有害事象に皮膚障害や腎機能障害、高カリウム血症など。

ST合剤による低Na血症については、トリメトプリム:TMPにより遠位ネフロンの上皮Na+ チャネルでのNa+再吸収の阻害によると考えられている。

精査

低Na血症の鑑別診断は高血糖,高中性脂肪血症,パラプロテイン血症,マンニトール,グリセオール当濃グリセリン)投与に伴う偽性低Na血症を除外する。

その後,体液量の評価,ホルモ ン検査などが必要。

ホルモンについては,「ADH(抗利尿ホルモン)の値を採血で測定すればよい、とも思われますが、尿中 Na 排泄が過剰となるような副腎不全と、SIADH で は、両方ともADHは抑制されないため、両者の鑑別には役に立たない。

尿中Na濃度と尿中K濃度を測定し,その和を血清Na濃度と比較する。

・尿[Na]+[K]>血清[Na]⇒低Na血症は進行していく
・尿[Na]+[K]<血清[Na]⇒低Na血症は改善していく

補足

SIADHの検査所見は、以下の通り。
1.低ナトリウム血症:血清ナトリウム濃度は135 mEq/Lを下回る。

2.血漿バゾプレシン値:血清ナトリウム濃度が135 mEq/L未満で、血漿バゾプレシン濃度が測定感度以上である。

3.低浸透圧血症:血漿浸透圧は280 mOsm/kgを下回る。

4.高張尿:尿浸透圧は300 mOsm/kgを上回る。

5.ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は20 mEq/L以上である。

6.腎機能正常:血清クレアチニンは1.2 mg/dl以下である。

7.副腎皮質機能正常:早朝空腹時の血清コルチゾールは6 μg/dl以上である。