作品は、アーティストの手を離れると、さまざまな人によって鑑賞されます。
鑑賞者は、多種多様。
現代アートの場合、展示場で、作品に解説がつけられていることは少なく、たいてい、解釈の仕方は、鑑賞者に委ねられます。
ゆえに、鑑賞者が、作品を、アーティストの意図とは違う形で解釈することがあります。
きょうは、それを体験した日でした。
わたしは本日、とある展覧会を観るために、大阪にある国立国際美術館にいったのですが、そこで、マーククイン(MARC QUINE)というアーティストの彫刻を見る機会がありました。
下着姿で、瞼を閉じて座っている女性の彫刻でした。
実物を見てもらうことができなくて残念ですが、みなさんは、この彫刻の画像を見て、何を思い、何を感じるでしょうか。
わたしは、初めてこの彫刻を見たとき、とくに何も考えなかったのですが、ふと、彫刻の横に標示されていた彫刻のタイトルに注目しました。
そこに書いてあったタイトルは、「美女と野獣」。
タイトルを見て、わたしはこんなことを考えました。
「美女と野獣」??
美女とは、この彫刻のことだろうな…
では、野獣は一体どこに…?
そうか、ひょっとしたら、、、
野獣とは、この女性を鑑賞する鑑賞者のことを意味するのかもしれないな。
さて、こんな解釈で、この彫刻作品を鑑賞したわたしですが、家に帰宅してから、この作品のことを調べてみると、マーククインの公式サイトに、こんな説明が載っていました。
あえて訳さずに転載してみます。
http://marcquinn.com/artworks/single/beauty-and-the-beast
Artwork Details:
Type
Sculpture
Year
2005
Medium
Polymer wax and freeze-dried animal blood
Dimensions
83h x 62.7w x 80.5d cm
“As a companion piece for Chemical Life Support, I made Beauty and the Beast, a portrait of a young girl asleep, yet alert, as if under an enchantment. It’s made of polymer wax mixed, not with a medical drug, but with freeze-dried animal blood bought commercially (usually used for fertilizer). She becomes an ark, possessed by all these animals, beauty and the beast in one. This work is about the co-existence of innocence and corruption in the world and about a girl being on the cusp of childhood and adult life.” – Marc Quinn, Recent Sculptures Catalogue, Groninger Museum, 2006
マーククインによれば、「野獣」は、鑑賞者ではなく、彫刻と一体化しているようです。
美術作品と解釈について、様々なことを考えさせられる、貴重な体験でした。