小さな子どもの頃は、この世の中の大人は、全員がしっかりとした大人なのだと思っていた。
そして、中でも、特別しっかりとした大人たちが、世の中を動かしているのだと思っていた。
また、自分も大人になれば(年月が経てば)、自然に、成熟し、しっかりとした大人になれるのだと思っていた。
しかし、大きくなるにつれて、世の中の大人たちが、それほどしっかりしているわけでもないことに気がついたし、世の中を動かしている人たちも、特別しっかりとした大人でもないことが分かるようになった。
大人たちは、自分の利益を優先してばかりいるし、また、争ってばかりいる。
近くにある悲しみに見向きもせず、遠くの悲しみに寄り添おうとすることもある。
世の中は矛盾に満ちており、ツギハギだらけだ。
子どもの頃に抱いていた世の中への印象は、いまでは、すっかり変わってしまっている。
それが良いことか悪いことかは分からない。
ただ、現在の子どもたちが成長したときに、がっかりしない世の中になっていてほしいとは思う。