臨床検査技師ができる検査と、臨床検査技師ができない検査について、法律的知識をまとめます。
法律の構成
臨床検査技師が行う検査は、診療補助行為にあたります。
ここで、診療補助行為は、保健師助産師看護師法の第三十七条に規定されています。
保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。
看護師・准看護師は、一定の要件の下、業としてすべての診療補助行為を行うことができます。
臨床検査技師ができる検査
他方、臨床検査技師は、一部の診療補助行為が認められるに留まります。
臨床検査技師ができることは、『臨床検査技師等に関する法』に規定されています。
(定義)第二条 この法律で「臨床検査技師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、臨床検査技師の名称を用いて、医師又は歯科医師の指示の下に、人体から排出され、又は採取された検体の検査として厚生労働省令で定めるもの(以下「検体検査」という。)及び厚生労働省令で定める生理学的検査を行うことを業とする者をいう。
さらに、臨床検査技師ができる生体検査は、『臨床検査技師等に関する法律施行規則』に規定されています。
具体的には、以下の通りです。
第一条の二 法第二条の厚生労働省令で定める生理学的検査は、次に掲げる検査とする。
一 心電図検査(体表誘導によるものに限る。)二 心音図検査三 脳波検査(頭皮誘導によるものに限る。)四 筋電図検査(針電極による場合の穿刺を除く。)五 基礎代謝検査六 呼吸機能検査(マウスピース及びノーズクリップ以外の装着器具によるものを除く。)七 脈波検査八 熱画像検査九 眼振電図検査(冷水若しくは温水、電気又は圧迫による刺激を加えて行うものを除く。)十 重心動揺計検査十一 超音波検査十二 磁気共鳴画像検査十三 眼底写真検査(散瞳薬を投与して行うものを除く。)十四 毛細血管抵抗検査十五 経皮的血液ガス分圧検査十六 聴力検査(気導により行われる定性的な検査であつて次に掲げる周波数及び聴力レベルによるものを除いたものに限る。)イ 周波数千ヘルツ及び聴力レベル三十デシベルのものロ 周波数四千ヘルツ及び聴力レベル二十五デシベルのものハ 周波数四千ヘルツ及び聴力レベル三十デシベルのものニ 周波数四千ヘルツ及び聴力レベル四十デシベルのもの十七 基準嗅覚検査及び静脈性嗅覚検査(静脈に注射する行為を除く。)十八 電気味覚検査及びろ紙ディスク法による味覚定量検査
法律間の調整
ちなみに、臨床検査技師のやることが、保健師助産師看護師法に違反するものとならないように(つまり、適法となるように)、『臨床検査技師等に関する法律』には、このような条文があります。
(保健師助産師看護師法との関係)第二十条の二 臨床検査技師は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として採血及び検体採取(医師又は歯科医師の具体的な指示を受けて行うものに限る。)並びに第二条の厚生労働省令で定める生理学的検査を行うことを業とすることができる。
まとめ
法律上、診療補助行為は、原則として、看護師・准看護師の独占業務ですが、例外的に、臨床検査技師は、診療の補助として採血と、検体採取、ならびに一部の生理学的検査を行うことができます。
それ以外の診療補助行為については、臨床検査技師が行ってはいけません。
参考「医行為」
なお、法律上、診療補助行為のほかに、医行為という概念が存在します。
医行為は、医師だけな行える行為です。
最高裁は、医行為を、「医療及び保健指導に属する行為のうち、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」と解釈しています。