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スターバックスがコーヒー豆をブロックチェーンで追跡する実験を実施中

スターバックスが、ブロックチェーン技術を、実験的に導入しているというお話です。

その意義を理解するために、まずはじめに、これまでのコーヒー豆の取引に関する話をします。

はじめに

コーヒーは、石油に次いで世界で2番目に大きい貿易商品です。

コーヒーの栽培で生計を立てている人は、世界中で、およそ1億2500万人いるそうです(Fairtrade Foundationの推計)。

主に、中南米と東南アジアの国々の農家の人々です。

これらの生産国では、伝統的に、仲買業者(中間業者)が、農家から、豆を安価に仕入れる、すなわち「買い叩く」という構造的な問題があります。

その影響か、コーヒー栽培農家の家族は、1日2ドル未満で生活しています(世界銀行の調査)。

10年くらい前の映画になりますが、エチオピアの実態を描いた「おいしいコーヒーの真実」という映画がわかりやすく、その状況を伝えていました。

フェアトレードの取り組み

この農家の経済的な問題を解決しようとする取り組みが、実は、以前からありました。

それは、フェアトレードの取り組みです。

こんなロゴが付いた、コーヒー豆や、チョコレートを見たことがある人もいるのではないでしょうか?

スターバックスの店舗にあるコーヒー豆にも、この認証マークが付いています。

これは、フェアトレードの基準を守った製品に貼られる認証ラベルです。

フェアトレードとは? ーフェアトレードジャパンより
コーヒーや紅茶、バナナやチョコレート。日常を彩るたくさんの食べ物が世界の国々から私たちの手に届けられています。
それらを生産している国、人々のことを考えてみたことはありますか?
日本では途上国で生産された日用品や食料品が、驚くほど安い価格で販売されていることがあります。
一方、生産国ではその安さを生み出すため、正当な対価が生産者に支払われなかったり、生産性を上げるために必要以上の農薬が使用され環境が破壊されたり、生産する人の健康に害を及ぼしたりといった事態が起こっています。
生産者が美味しくて品質の良いものを作り続けていくためには、生産者の労働環境や生活水準が保証され、また自然環境にもやさしい配慮がなされる持続可能な取引のサイクルを作っていくことが重要です。
フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」。
つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。

ちなみに、対象商品には、さまざまなものがあります。

このフェアトレードは、理想的な取引を推進するものです。

しかし…

世界のコーヒー総生産に占めるフェアトレード認証コーヒーは、約4.5%に過ぎないのが実情です。

依然として搾取され続けている原産地の農民たちがいます。

※なお、認証ラベルがなくても、独自に公正な取引に取り組んでいる企業もあります。「認証ラベルがない」=「不公平・不公正」ではありませんので、誤解には注意です。

ブロックチェーンへの期待

このような背景の中で、スターバックスも、これまで、コーヒー農家の継続的な利益確保に取り組んできました。

具体的な取り組みはこちら:Ethical Sourcing 倫理的な調達

そして、今年3月、米スターバックスは、新たに「Bean to Cup」の実験的な追跡プログラムの開始を発表しました。

公式リリースはこちらです:Starbucks Newsroom

「Bean to Cup」とは、文字通り、「豆からカップまで」という意味です。

このプログラムの概要ですが、

・コスタリカ、コロンビア、ルワンダの選ばれたコーヒー農家を対象にします。

・生産されたコーヒー豆が物流に載るプロセスをリアルタイムで記録し共有することで、物流プロセスのトレーサビリティ(追跡可能性)を向上させます。

・そして、トレーサビリティの向上が、どのようにコーヒー農家に経済的自立と自信を与えるのかを、今後2年間にわたって検証します。

ちなみに、NAEB(ルワンダ農業省輸出開発委員会)のCEO、ビル・カヨンガ氏が、スターバックスのプログラムに関して、「トレーサビリティは農民の価値を高め、ルワンダのコーヒー部門を変える。それによって、国全体が強化されるだろう。」と有望視する発言をするなど、プログラムを実施する各国から、期待の声が上がっているそうです。

将来は

近い将来、スターバックスのブロックチェーン技術によって、コーヒ栽培農家が、豆の公正な価格に見合う代金を、容易にかつ迅速に得られるようになっているかもしれません。

そして、僕らがスターバックスでコーヒーを飲むときに、カップ一杯ごとに、コーヒーの産地が分かったり、農家が公正な代金をもらったのかどうかが分かったりする日が、やって来るかもしれませんね。