ROC曲線について解説します。
概要
ROC曲線は、検査の感度と特異度の関係を視覚的に表します。
ROC曲線は、検査間の有用性の比較や、最適なカットオフ値の設定に有用です。
ROCは「receiver operator characteristic」の略です。
解説
ROC理論は、第2次世界大戦中に、レーダーのノイズから敵機を正しく検出するために考え出された理論です。
ROC曲線は図に示すように、縦軸を検査の「感度」とし、横軸を検査の「偽陽性率(1一特異度)」としたグラフです。
ちなみに、グラフA,B,Cに対応するヒストグラムのイメージは、つぎのようになります。
疾患群と非疾患群の両者の分布が同じになる検査では、ROC曲線は、グラフAのように対角線となります。
一方、両者の測定値の分布が離れている検査では、分離の程度に応じて、ROC曲線は、グラフBやCのように左上の方向に向かって膨らみます。
曲線がグラフの左上(感度が1で、1一特異度が0)に近づくほど、正確な検査と評価できます。
上記の図の場合は、グラフCの検査が、もっとも正確な検査と評価されます。
なお、疾患群と非疾患群の両者の分布が、下図のように完璧に分離されている理想的な検査の場合、ROC曲線は、左上の角(感度が1で、1一特異度が0)を通る、直角に折れ曲がった線となります(赤の破線のようなグラフになり、曲線ではなくなります)。