出張する会社員にとって、移動時間は完全な自由な時間とは言えません。
よって、出張中の移動時間にも、残業代(時間外手当)がつくのかどうかが問題となります。
結論からいえば、出張の移動時間は、一般的には、労働時間に該当しません。
しかし、以下のように、例外的に労働時間に該当する可能性もります。
解説
まず基本的な考え方として、労働時間とは、労働者が使用者の現実的な指揮命令に服している時間をいいます。
そのほかに、現実に仕事の作業をしていなくても、使用者の指揮命令のもとにある場合は、仕事のために待機している時間であっても、その時間はいわゆる手待ち時間として、労働時間になります。
このような考え方の中で、仕事の中には、労働時間とも手待ち時間とも言えない微妙なケースがあります。
そのような場合、労基法上の労働時間に該当するか否かは、使用者の指揮命令の有無・程度を個別的に考慮して、実態に即して判断されます。
出張の移動時間
一般的に、出張の移動時間については、その時間を労働者が自由に利用でき、使用者の指揮命令下にないと判断される場合は、労働時間としてみなされないと言われています。
すなわち、単に目的地まで移動するだけの時間で、移動中に具体的な業務を命じられていないのであれば、労働時間になりません。
しかし、移動中に、物品の監視や商品の運搬など特別な指示がある場合は、使用者の指揮命令下にある時間として、労働時間に該当することになります。
この点、行政解釈では、「出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段 の指示がある場合の外は休日労働として取り扱わなくても差し支えない」とされています。
関連法令
労基法第32条、第37条、第38条、第38条の2