意外かもしれませんが,医療行為に伴う被ばくに関しては,患者の被ばく線量の上限は,設定されていません.
患者が「ベネフィットがリスクを上回る」と判断した場合に,患者がそのベネフィットを受けることを阻害してはいけないからです.
胎児と被ばく
ただ,胎児の場合は,大人よりも放射線の影響が大きそうなので, その点は実際どうなのかと疑問が湧きました.
そこで調べてみると, 胎児の被ばくで考えておくべき問題は,この四つだそうです.
- 流産
- 奇形
- 精神発達,遅滞
- 白血病などの発癌
1~ 3はしきい値があるそうで,その数値は100mGy.しきい値を超えない限り発生しないそうです.
この点,通常のCT撮影では,子宮の臓器線量が10mGyを超えることはないので,通常の撮影であれば,1~3については,胎児への影響は問題にならないとのことです.
ただし,薄いスライスの撮影や,頻回撮影などの場合は,放射線量が多くなるというリスクの認識が必要とのことです.
他方,4の胎児被ばくによる発癌に関しては,いまだ調査段階にあり,はっきりとは言及されていないのが現状のようですが… 基本的には,通常のCT撮影では,胎児には問題は起こらないと考えられているそうです.