肝不全のアミノ酸投与
バリン、ロイシン、イソロイシンという名称で呼ばれるアミノ酸は、枝わかれするような分子構造をしているため、BCAA(Branched Chain Amino Acid;分岐鎖アミノ酸)と呼ばれている。
肝臓にはこのBCAAを代謝する酵素が存在せず、BCAAはトランスアミナーゼを有する筋肉や脳、心臓でエネルギー源として代謝される。
一方で芳香族アミノ酸(AAA)は主として肝臓で代謝されてエネルギー源となる。
肝不全の際には血中アミノ酸濃度が上昇する。中でも芳香族アミノ酸は退社される蓄積し血中濃度が上昇する。なおBCAAは他の臓器で代謝されるため血中濃度は正常あるいは低下する。
ここで、芳香族アミノ酸は肝性脳症の原因となる。
肝性脳症の治療においてはアミノレバンやモリヘパミンなどのBCAAリッチな肝不全用のアミノ酸製剤を投与する。
肝硬変の栄養指導
肥満や糖尿病を始めとする生活習慣病は肝臓の繊維化が進行する原因となるので食事改善の実施が必要。
エネルギー量は病態を加味した設定にする。非代償期では分岐鎖アミノ酸製剤の投与が必須。食事によるタンパク質量は肝性脳症の予防や治療のために体タンパク食とする。鉄の過剰沈着は酸化ストレスによる発癌を促進するため鉄制限が望ましい。就寝前の軽食(LES)は耐糖能異常の血糖管理に有用である。