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化学

軟化点とガラス転移点

軟化点

定義

軟化点は、固体物質を加熱していくときに、物質が軟化し、変形し始める温度のことです。

軟化点は、「軟化温度」とも呼ばれます。

解説

非結晶性の固体物質は、粒子間の結合力に均一性がないため、温度上昇につれて部分的に結合が切れて、しだいに軟化し、変形し始めます。

このときの温度が「軟化点」です。 固体状態から流動状態へは、連続的に変化するので、一定の軟化温度を示すことはなく、特定の温度域に亘って軟化していきます。

なお、軟化点の測定では、測定対象となる物質の種類によって、採るべき測定法が異なるので、注意が必要です。

ガラス転移点

定義

ガラス転移点は、ガラス転移が生じる温度、すなわち、過冷却状態からガラス状態に変わる温度のことです。

なお、ガラス転移点は、「ガラス転移温度」ともいいます。

解説

融解状態の高分子物質は、ゆっくり冷やすと、ある温度で、結晶化します(この温度は融点です)。

しかし、融解状態の高分子物質を急に冷やすと、融点に達しても、結晶化せず、液体のまま冷やされていきます(過冷却の状態)。

そして、液体の状態でどんどん冷やされていくと、そのまま凝固して固体状態になります。

このように、非晶質が凝固した硬い状態を「ガラス状態」といいます。

そして、この変化のことを「ガラス転移」といい、ガラス転移が生じる温度(過冷却状態からガラス状態に変わる温度)を「ガラス転移点」といいます。

ガラス転移点は一般的には熱膨張曲線の解析から求められます。

軟化点とガラス転移点の違い

上記のように、両者は異なる概念であり、軟化点の方が、ガラス転移点よりも高い温度となっています。

なお、物質には、「軟化点」、「ガラス転移点」、「融点」のほかに、「歪点」や「徐冷点」などがあります。