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介護の褥瘡予防とスキンケア

介護の場面で頻発する褥瘡について、予防する方法とスキンケアの方法について解説します。

褥瘡とは

床ずれは「褥瘡(じょくそう)」と呼ばれます。

褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている部分の血流が滞ることで、皮膚の一部が赤い色味を帯びたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。

褥瘡はなぜ発生する?

褥瘡は、活動性が低下して横になっている時間が長くなったときや、圧迫されている部分を「痛い」と感じる意識が鈍ってきたとき、加齢などで組織の耐久性が低下したときなどに発生しやすくなります。

褥瘡が発生してしまった場合は、できるだけ早く治癒するためのケアを行います。

褥瘡の問題点

褥瘡は治療できる病気ですが、ひとたび褥瘡が発生してしまうと、さまざまな問題が発生します。

ひとつは、治療費です。

褥瘡はいったん発生してしまうと治癒までには長い期間を要します。

長期間の薬剤使用や医療衛生材料の使用料や、医師や看護師が処置に要する時間(人件費)も費用として必要です。

ふたつ目は、苦痛です。

痛みによる苦痛もありますが、自分の体に醜い傷があるという、精神的な苦痛も感じてしまいます。

また、治療の長期化で、患者本人や家族にとって、大きなストレスとなります。

褥瘡の予防

体圧を分散する

褥瘡を予防するためには、最も体に圧迫のかかる部位の圧迫を、できるだけ取り除くことが必要です。

体圧を取り除くために、体圧分散マットレスなどを使用することが望ましいです。

体圧分散マットレスは、体がマットレスに沈み込み、圧力を小さくする機能などをもっています。

背抜きする

背抜きとは、ベッドに張り付いていた後頭部・背部・瞥部・踵部などを一旦ベッドから 離す行為のことをいいます。

ベッド側に張り付いている体の圧力を解放して、重苦しさや痛みを取り除くことができます。

やり方は、後頭部・背部・聲部・踵部などの下を滑りやすい布をっけた手でゆっくり滑らせます。

背抜きをすると、体への圧力が解放され、寝ている方はとても安楽になります。

体位変換する

体位変換とは寝ている方の体の向きを変えることです。

目安としては、体位変換は2時間ごとといわれます。

体圧分散マットレスを使用している場合は、4時間を超えない範囲で体位変換を行ってもよいとされます。

スキンケア

高齢者は皮膚にシワがあるため、体を拭いても、あまり清潔にはなりません。

拭きすぎると、高齢者の弱い皮膚には刺激が強すぎ、皮膚を傷めてしまいます。

そこで、洗浄剤を泡立てて洗います。

泡は、ネットやスポンジなどを利用すると良いでしょう。

栄養管理をする

年をとると口から食べること(経口摂取)が難しくなってきます。

しかし、一般的に、口から食べ物を摂取できる人に褥瘡の発生が少ないといわれます。

反対に、口から食べられない場合、十分な栄養の量と質が摂取できなくなるため、褥瘡の発生が多くなります。

栄養管理のコツとしては、食欲を増すために旬のものを食べたり、栄養を補うために栄養補助食品を使うのが良いでしょう。

カロリーが不足しがちな高齢者は、おやつを食べることも大事です。

なお、目標とすべき検査データとしては、血清アルブミン値が3.0 g/dL 以上が望ましいと言われます。

アルブミンは傷を治すのに不可欠な栄養素のたんぱく質です。

アルブミンが不足すると、ヒトの体は、筋肉からタンパク質を引っ張ってきます。

すると、筋肉量が低下し、やせて骨が飛び出し、わずかな圧迫などで皮膚に傷ができ治りにくくなります。