もの盗られ妄想
認知症のお年寄りを介助していると、たびたび、お年寄りが妄想にとらわれる場面に出くわします。
中でも、「ものを取られた」、「お金を取られた」、「財布を盗まれた」などと被害を訴えるケースがあります。
その多くは、家族やヘルパーを犯人扱いするものです。
これは、「もの盗られ妄想」と呼ばれています。
原因は、財布などの大事なものを自分で片付けたのに、片付けたことや、片付けた場所を忘れてしまっているのが原因です。
対応策は
認知症の人も普通の人と同じ心の動き
認知症の人が示す心の動きは、実は普通の人が本来もっているものと同じと言われています。
失敗すれば周りの目が気になるし、言い訳もします。
否定されれば、反発したり被害妄想的になったりもします。
したがって、「私は盗ってはいません」と返事をするのはよくありません。
また、「訳のわからないことを言うな」、「お前が忘れているだけだ」などと非難してしまうのはもっとよくありません。
うまく聞き流すことが大事
そんな時は、「何か困っているの?」とか、「一緒に探そう」と声をかけてあげるのが良いでしょう。
やわらかい態度で接すると、認知症の人でも、少しは落ち着きを取り戻します。
そして、しばらくしたら、「見つからないので後でまた探しましょう」と言い、ひとまず諦めさせると良いでしょう。
あるいは、似たような財布を別に用意しておき、財布を探し始めた時に、目につきやすい場所に置くという手もあります。