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乳酸アシドーシスの原因、診断、検査、治療

乳酸アシドーシスについて解説します。

定義

乳酸アシドーシスとは、一般に、血中の乳酸が5mmol/L(45 mg/dL)以上の病態をいいます(高乳酸血症)。

代謝性アルカローシスや呼吸性アルカローシスを合併していなければ、血液pHが7.35未満の、いわゆるアシデミア(酸血症)となることが一般的です。

乳酸の代謝

基本的に、乳酸は、細胞への酸素供給が不足したときに、ピルビン酸から産生されます。

通常は、乳酸が蓄積することはありませんが、嫌気的条件下では、蓄積します。

なお、乳酸は身体のすべての臓器・組織で産生され、とくに多く産生される臓器は骨格筋、脳、腸です。

乳酸アシドーシスの原因

高乳酸血症による乳酸アシドーシスは、乳酸の産生が代謝を上回った場合に起こりえます。

古典的には、低酸素症や虚血・ショックによるものなど二次的なものをタイプAと分類し、何らかの原因で乳酸が産生されている一次的なものをタイプBと分類します。

タイプAの原因としては、循環血漿量減少、心不全、敗血症などによるショック、呼吸不全、一酸化炭素中毒、組織の低酸素状態、心肺停止などがあります。

type Bの原因としては、肝不全に伴う肝での乳酸処理の低下、悪性リンパ腫などの腫瘍細胞での過剰な乳酸産生、ビタミン B1不足、薬剤性、先天代謝異常症などがあります。

Lactate shuttle

また、近年は、上記のタイプAとタイプB以外に、「lactate shuttle」という概念が注目されています。

具体的には、代謝活発化に伴う解糖系の充進の結果として起こる高乳酸血症です。

敗血症などでは、筋肉などで解糖系が亢進し、大量の乳酸が産生され、血液中へ動員されます。

高値となった乳酸は重要臓器へ運搬されエネルギー源として利用されると考えられています。

診断・検査

乳酸アシドーシスか否かを診断するには、血液ガス分析で、血中乳酸値を直接測定するのが一番です。

また、動脈血のpHをみることも重要です。

血中乳酸値が5mmol/L(45 mg/dL)以上で、動脈血のpHが7.35未満であれば、乳酸アシドーシスであると診断が容易です。

治療

基本的には、呼吸・循環管理(乳酸を含まない輸液、酸素投与など)を行います。

また、DKAや高血糖などインスリン欠乏が疑われる場合は、インスリンを投与します。

さらに、低栄養状態や中心静脈栄養法(IVH)導入時で、ビタミンB1不足が疑われるときは、ビタミンB1を投与します。

なお、pH 7.1未満の場合、pH 7.2~7.25を目標に、重炭酸ナトリウムを投与すると効果があるとする説があります。