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介護老人保健施設(老健)で医療保険が使えない理由と例外は?

介護老人保健施設(いわゆる老健)とは、病院で治療され回復した高齢者が、在宅復帰へ向けたリハビリを行う施設です。

老健の医療体制

老健はリハビリ施設ですが、医師や看護師が常勤しています。

したがって、医療行為が必要なお年寄りでも入所できます。

たとえば、酸素吸入や、気管切開、胃ろうについての処置などが可能です。

しかし、老健の施設内で受けた診察や治療の費用には、健康保険を使えません。

なぜ健康保険(医療保険)は使えない!?

実は、以下のように、健康保険法では、介護保険法による給付が受けられるときは、健康保険を使えないと定められています。

したがって、介護保険が優先して適用されます。

すなわち、医療行為があったときは、介護事業者に介護報酬が支払われます。

健康保険法第55条第2項(他の法令による保険給付との調整)

被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給は、同一の疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。

なお、このように健康保険と介護保険を同時に受給すること(併給)が禁止さているため、もしも病院へ入院する必要が出てきたら、医療保険を使えるようにするため、その日のうちに老健を退所しなければなりません。

もしも退所せずに入所したままの状態で、老健施設の外の医療機関で受診すると、利用者の10割負担になってしまいます。

例外もある

ただし、完全に健康保険が使えないというわけではなく、老健の中で、健康保険(医療保険)が使える場合もあります。

たとえば、急に高齢者の状態が悪化して、高度な医療行為が緊急に必要となった場合には、老健の施設内で治療した場合であっても、医療保険から給付されることがあります。