介護している介護者にとって、親孝行したのだから兄弟よりも遺産を多くもらいたいという場合があるかと思います。
しかし、遺言書がない場合は、基本的には兄弟姉妹での話し合いによって分配が決まりますので、介護の負担をした人に多く分けてもらえるかどうかは、話し合い次第ということになってしまいます。
もし、介護しなかった兄弟姉妹が遺産を多く要求するなど、話し合いがうまくいかない状況になると、介護していた人は非常に困ってしまいます。
話し合いが決裂した時は、家庭裁判所で「調停」を申し立てなければなりませんし、さらに、「調停」でも決まらない時は「審判」してもらうしかありません。
ところが、介護をした事実は、調停や審判の場では、親の面倒を見るのは当たり前という考えがあるため、あまり評価されていないのが現実です。
このような面倒な事態を回避するためには、遺言書を用意しておくことが重要です。
遺言書の種類としては、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がありますが、すすめなのは、公正証書遺言です。
公正証書遺言は、公証人という法律の専門家がつくるので、内容の不備などにより後で無効になることがないからです。
親が元気なうちに(特に認知症になる前に)、介護者と遺産の分け方を話し合い、遺言書を用意しておきましょう。