血清鉄と炎症の関係について解説します。
炎症と血清鉄
血清中の鉄の濃度は、炎症によって測定値が変動します。
理由として、まず、血清中の鉄は、トランスフェリン(Tf)と結合しています。
トランスフェリン(Tf)は、肝臓で産生される蛋白質です。
このトランスフェリン(Tf)は、炎症があるとき、肝臓での合成量が低下します。
これは、炎症があるとき、肝臓は、トランスフェリン(Tf)よりも炎症反応に必要なタンパク質を優先して作ろうとするためです。
したがって、血中のトランスフェリン(Tf)の減少によって、血清中に存在する鉄の量が減少します。
解釈上の注意
炎症が起きたとき、上述のように、血清鉄の測定値は大きく低下します。
よって、血清鉄の測定値が低値であったとしても、そのことのみをもって、「鉄が欠乏している」と解釈してはいけない点に注意が必要です。
炎症の回復を待って、血清鉄の値が上昇するのを確認すれば良いでしょう。
ただし、炎症が起きる前から血清鉄が低値を示していた患者については、体内にある鉄が、もともと不足していた可能性があり、炎症が回復しても、血清鉄の値がそれほど上昇しない場合があります。