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血清リンの代謝,基準範囲,測定法

血清中のリン(P)の代謝、基準範囲、測定法について解説します。

代謝

リンは小腸からの吸収、細胞内外の移動、腎からの排出によって調節されています。

通常、副甲状腺ホルモン活性型ビタミンDが作用し、カルシウム(Ca)値と連動します。

ヒトの体内では、リンは「無機リン」あるいは「有機リン酸化合物」として存在します。

無機リン

無機リンは、自由に細胞の内外を移動します。

血清中の無機リンの約1/4は、蛋白質に吸着し、約3/4は、遊離型で存在しています。

また、体液中の遊離型無機リンは、PH調節、組織細胞内でのエネルギー代謝、窒素代謝などの基礎的代謝に重要な役割を果たしています。

有機リン酸化合物

有機リン酸化合物は、その大部分がカルシウム(Ca)マグネシウム(Mg)と結合し、骨組織や、骨格筋の構成成分として多量に存在します。

また、細胞成分として、リン脂質、核酸、高エネルギーリン酸化合物などの多くのリン酸エステルとして体内に存在します。

基準範囲

血清中の無機リンを検査対象とします。

正常範囲は、2.5~4.8mg/dl (0.81~155mmol/L)です。

日内変動や、日差変動はありません。

ただし、年齢差があります。小児から思春期にかけて成人より高くなりがちです。

また、男女差もあります。中年では女性の方が男性より高くなります。

測定法

化学的測定法と、酵素的測定法があります。

化学測定法

化学測定法は、還元法(モリブデン酸法)です。

血清を除蛋白後、リン酸が酸性溶液中でモリブデン酸塩と反応することで形成するリン・モリブデン酸錯体を、還元剤(アミノナフトールスルホン酸など)で還元(Mo6+ → Mo3+)します。

そして、生成したモリブデンブルー(青色)を、比色定量します(フィスケ・サバロウ法)。

また、リン・モリブデン酸と塩基性色素マラカイトグリーンとを反応させて、緑色の複合体を生成させ、578nmで比色する方法もあります(マラカイトグリーン法)。

酵素的測定法

酵素的測定法には、①グリコーケンからグルコース1-リン酸を生成させ、ホスホグルコムターゼでグルコース6-リン酸とし、グルコースー6-リン酸デヒドロゲナーゼでNADP十をNADPHにして340nmの吸光度変化としてとらえる方法(PL-PGM-G6PD法)、および、②イノシンと未知量のリン酸とでヒポキサンチンを生成させ、キサンチンオキシダーゼで酸化し、過酸化水素を生成させて発色させる方法(NP-XOD+POD法)があります。

留意点

検体を全血のまま長時間放置したり、溶血状態であったりすると、高値を示します。