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穿刺液の検査(漿液・髄液)

穿刺液とは

体内には、いくつかの体腔が存在し、体腔は、外界から遮断されています。

体腔は、内臓を覆っており、少量の体液が存在しています(潤滑油の役割)。

このため、臓器同士の摩擦が防がれたり、外界の震動による臓器の損傷が防がれたりします。

体腔のうち、主なものは「漿膜」、「脈絡膜」および「滑膜」に分けられ、少量の体液が存在します。

それぞれ順に、「漿液」、「脳脊髄液」および「滑液(関節液)」と呼ばれます。

各体液の成分は、漏出する血漿が主成分です。それゆえ、癌や炎症があると、そこからの成分が混入することがあります。

漿液の検査

漿膜と漿液

漿膜は、1層の扁平な中皮細胞で覆われており、疎性結合織の薄い層からなっています。

漿液は、血漿成分が濾過されたものであり、組織由来の物質はほとんど混入していません。

漿液は、漏出液と、滲出液に分類されます。

主な漿膜腔は、「胸膜腔」、「腹膜腔」および「心膜腔」です。

それぞれ少量の「胸水」、「腹水」および「心膜液(心嚢液)」が入っています。

漿液の検査

正常では、体腔にはごく少量の漿液が貯留しています。

しかし、病的な状態では、多量の漿液が貯留する場合があります。

このような場合、漿液の検査をするために、穿刺針を体腔に刺入し、無菌的に吸引して検査します。

漿液の検査では、主につぎのような検査をします。

①一般検査

・漿液の量,外観,異物の有無
・比重、pH
・蛋白量
・リバルタ反応
・漿液沈漬の鏡検

②微生物検査

③細胞診

髄液の検査

髄液について

脳脊髄液(通称「髄液」)は、主に、脳室にある脈絡膜層で作られます。

Luschka孔と、Magendie孔を通ってクモ膜下腔に出て、上方と下方に流れて脳表面、脊髄表面、神経根を潤して循環しています。

髄液の吸収は主としてクモ膜絨毛から静脈洞へと行われます。

髄液の総量は,正常成人で90~150ml程度です。

髄液の産生量は、正常人では1時間に15ml程度と考えられており、病的には、400mlにも及ぶとされています。

髄液の採取

通常は、第3、4腰椎間腔に針を刺して行う腰椎穿刺によって髄液を採取します。ときには後頭下穿刺や、脳室穿刺によります。

髄液の検査

髄液の検査には、たとえば以下のものがあります。

①一般検査
・髄液の色調・混濁の確認、浮遊物の有無の確認
・細胞数の算定、細胞の種類の確認
・グロブリン反応
・膠質反応

②生化学的定量検査
・蛋白、糖、酵素など
・電解質、Pco2、HCO3-、pH
・髄液蛋白分画、免疫グロブリン定量

③微生物検査

④血清検査(主に梅毒血清反応)

⑤細胞診

髄液の異常

外観

髄液は、通常、無色透明です。

しかし、細胞成分が混入すると、髄液は混濁し、また、血液が混入すると、血性となります。

細胞成分

髄液は、通常、細胞数は、0~5個/ml のリンパ球を含むのみです。

しかし、細胞数が10を超えると、神経系の炎症などを意味します。

好中球の増加であれば細菌性感染を、リンパ球の増加であれば、ウイルス、寄生虫、トレポネーマなどを疑います。

また、腫瘍細胞が見られる場合、神経系の腫瘍を疑います。

病原微生物

髄液から検出される菌には、細菌(髄膜炎菌、結核菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌)、スピロヘータ(梅毒トレポネーマ、レプトスピラ)、真菌(クリプトコッカス)、原虫(トキソプラズマ)、種々のウイルスがあります。

タンパク

正常では、タンパク濃度は14~45mg/dl 程度です。

増加する場合には、①血清タンパクの増加に影響される場合、②血液‐髄液関門が破壊された場合、③クモ膜下が閉塞し、髄液がうっ滞する場合、④免疫グロブリンの局所産生の増加する場合などです。