代謝について
二酸化炭素(CO2)は、水と反応後、電離して重炭酸イオン(炭酸水素イオン)になります。
重炭酸イオン+クロールイオンは、体液中の総陰イオンの約85%を占めます。
重炭酸イオンの大部分は、塩基と結合して「重炭酸塩」として存在します。
重炭酸塩は、炭酸・重炭酸緩衝系を形成し、血液のPHの維持に重要な役割を担っています。
血中のHCO3イオン濃度は、肺や腎臓で調節されています。
検体について
重炭酸イオンと炭酸ガス分圧は、血液ガスの項目として、一般に、動脈血で測定されます。
動脈血は、採血後に、直ちに空気と遮断しながら測定します。
基準範囲
重炭酸イオン(HCO3–)の基準範囲は、23~28mEq/L(23~28 mmol/L)です。
血液炭酸ガス分圧の基準範囲は、35~45mmHgです。
なお、血液酸素分圧の基準範囲は、75~115mmHg、血液水素イオン濃度の基準範囲は、pH7.35~7.45です。
臨床的意義
血液中の重炭酸イオン濃度は、腎臓からの水素イオンの排出、肺からの二酸化炭素の放出、および、尿細管からの重炭酸イオンの再吸収によって調節されています。
重炭酸イオン(HCO3-)が高値を示す場合には、嘔吐(H+の喪失)、低K血症、呼吸性アシドーシスなどがあり、低値を示す場合には、糖尿病ケトアシドーシスや、腎不全などの排泄障害などがあります。
また、動脈血酸素分圧(pO2)と、動脈血炭酸ガス分圧(pCO2)は心肺機能と腎機能、さらには、全身的機能の診断に用いる指標となります。
炭酸ガス分圧が上昇する場合には、呼吸性アシドーシスによる場合、原発性アルドステロン症、嘔吐、低K血症などがあり、低値を示す場合には、過換気症候群、肺炎、肺線維症の呼吸性アルカローシス、腎不全、糖尿病などがあります。
測定法
pO2とpCO2は、電極法による血液ガス分析装置により測定されることが多いようです。
重炭酸イオンは、pO2、pCO2、PH、および、ヘモグロビン濃度から算出されます。