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検査

血液培養の注意点などの解説

血液培養とは、血液を培養ボトルに入れ、35℃〜37℃で振盪培養し、菌を検出する検査です。

以下に血液培養の注意点などを解説します。

採取のタイミング

原則として、敗血症を疑う状況で採取します。

菌を検出するためには、抗菌薬を投与する前に採取することが重要です。

採取部位

上肢の静脈からの採取が推奨されています。

下肢からの採血や、カテーテルを経由した採血は、コンタミネーションの危険が増します。

ただし、カテーテル関連血流感染症を疑う場合は、カテーテルからの採取が重要です。

なお、動脈血から採血するメリットは確認されていません。

消毒

消毒には、「アルコール+ポピドンヨード」、「ヨードチンキ」あるいは「クロルヘキシジンアルコール(0.5%以上)」が適しています。

なお、アルコールのみでは、バシラス属やクロストリジウム属が消毒しきれません。

採血量

好気ボトルと嫌気ボトルの2本を組み合わせて「1セット」とします。

1セットあたりの採血量は20~30mlとし、各ボトルに10〜15ml注入します。

ボトルに注入する血液量には、下限と上限があります。

下限を下回ると、検出感度が下がります。

上限を上回ると、偽陽性や偽陰性の発生頻度が高まります。

なお、もし末梢循環不全などで十分量の血液を採取できない場合、血液を好気ボトルのみに注入して培養検査を行います。
これは起因菌の多くが好気ボトルで培養可能だからです。

セット数

望ましくは、24時間以内に2セットないし3セットの採取を実施します。

同時に2セットないし3セットの採取をしても構いません。

典型的には、左右の上肢から採取し、2セットとします。

複数セット採取のメリットとしては、検出感度の向上や、コンタミネーションの判断に有用であること等が挙げられます。
なお、感染性心内膜炎の診断には、時間をずらして3セット採取することが有効です。

培養時間

培養時間は、5日間で充分とされます。

ただし、つぎの菌種は、5日間では発育困難な場合があるので、起炎菌として疑う場合は、5日の時点で陰性でも、延長培養することが薦められます。

・Helicobacter cinaedi
・Francisella spp
・Brucella spp
・Bartonella spp
・Aggregatibacter spp
・Cardiobacterium spp
・Mycobacterium spp
・Nocardia spp
・Campylobacter spp
・Candida glabrata
・Cryptococcus neoformans等。

また、次の菌はボトルでの発育が困難とされます。

Leptospira sppおよびLegionella spp

陽性判定後

機器により陽性判定されたボトルは、転倒混和し、スライドに滴下して染色します。

そして、染色結果をもとに、血液寒天培地を基本に、チョコレート寒天培地、グラム陰性菌用培地、嫌気性菌用培地など、使う培地を選び、また、培養方法を決定します。

その他

血液が固まらないようにするため、ボトルには、抗凝固剤のSPSが含有されています。

抗凝固剤のSPSは、ほかの抗凝固剤に比べ、菌に対する発育を抑制する効果が低いため、血液培養ボトルに含有させるのに適しています。

ただし、SPSは、ナイセリア属や一部の嫌気性菌については、発育を抑制してしまうというデメリットがあります。