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赤血球の基礎と異常

赤血球の基礎

赤血球の産生

赤血球は、前赤芽球→赤芽球→網赤血球→赤血球という順に産生されます。

前赤芽球

赤血球系細胞の中で、形態学的にとらえられる最も未熟な細胞は、「前赤芽球」です。

前赤芽球は、赤芽球の中で最も大きいです。

細胞に占める核の容積比は大きく、クロマチン網工は点状繊細であり、2~3個の核小体を有します。

なお、穎粒はありません。

赤芽球

赤芽球は、分裂や成熟をするほど小さくなり、細胞質は、赤みを増します(ヘモグロビンの増加)。

赤芽球は、成熟とともに核が小さくなり、クロマチンは粗大となり、さらに、濃縮されていきます。

最後には脱核し、「綱赤血球」になります。

なお、前赤芽球から脱核するまでの期間は、約4~5日です。

網赤血球

綱赤血球は、一般に、成熟赤血球に比べて、大きくて軽いです。

血管内での寿命は約24時間で、貧血があると長くなる傾向にあります。

網赤血球は、赤血球のおよそ0.8%を占めます。

赤血球の形態および機能

血球は、中央がくぼんだ双凹円板形です。

直径は約8μmで、厚さは辺縁部で約2μm、中央で約1μmです。

赤血球は、保有するヘモグロビンにより、酸素を運搬します。

また、含有する炭酸脱水酵素などの働きにより、CO2も運搬します。

さらに、血液のpHを緩衝する機能や、撹枠子として、側き,溶質の血中濃度をいったいにする機能もあります。

赤血球の異常

大小不同

赤血球の大きさには正常でも多少のバラツキがみられるが、ばらつきが著明な場合、大小不同症(anisocytosis)といいます。

巨赤血球

巨赤芽球症にみられる巨大赤血球で,多く楕(卵)円形で、多染性を示すことはありません。

小赤血球

鉄欠乏性貧血、サラセミア、異常ヘモグロビン血症などでみられます。

なお、赤血球が極端に小さい場合、破砕(分裂)赤血球といいます。

破砕赤血球は、赤血球破砕症候群(DIC、TTP、HUS)、遺伝性熱変性性変形赤血球症などで見られます。

形態異常

うに状赤血球、口状赤血球などが、特定の症状で見られます。

封入体

好塩基性斑点、パッペンハイマー小体、ハウエルジョリー小体、カボー環、シュフナー斑点、ハインツ小体などが特定の症状で見られます。

連銭形成

血漿フイブリノゲンまたは免疫グロブリン(IgG、IgMなど)の増加時にみられます。

異常ヘモグロビン

グロビンのアミノ酸配列が変化したものを異常ヘモグロビンといいます。

およそ400種があり、溶解度が低いものや、溶血を起こしくするものなど、様々です。

なお、グロビン部分の異常でも後天的にグルコースが結合し、アマドリ転移を起こしたHbA1cは、異常ヘモグロビンとは言いません。