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ジビエ肉には,E型肝炎ウイルス,腸管出血性大腸菌または寄生虫による食中毒のリスクがある

ジビエ肉とは

ジビエ肉とは,狩猟でしとめた鳥獣類の肉のことです.

シカ肉,イノシシ肉,鳥肉などです.

栄養価が高いということで,グルメの面で注目を浴びています.

また,ビジネスの面でも注目されています.

野生のシカやイノシシを仕留めて獣害を減らす一方で,肉を食用として流通させ利益を得る… 近年,そんな動きが見られます.

もちろん,課題もあるようですが.

【課題についての参考記事】

ジビエ・ビジネスの光と影 獣害対策の切り札となるか

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9689

一見,大きな可能性を秘めたジビエビジネスなのですが,消費者の立場から見ると,そこには重大な危険があります.

それは,「生」または「加熱不十分」な野生のシカ肉やイノシシ肉を食べると,E型肝炎ウイルス,腸管出血性大腸菌または寄生虫による食中毒のリスクがあるということです.

厚労省も注意喚起しています.

なかでも,要注意なのがE型肝炎です.

E型肝炎は、E型肝炎ウイルス(hepatitis E virus、以下「HEV」という。)の感染によって引き起こされる急性肝炎(稀に劇症肝炎)で、慢性化することはありません。HEVは主として経口感染しますが、ごく稀に、感染初期にウイルス血症をおこしている患者(あるいは不顕性感染者)の血液を介して感染することもあります。E型肝炎は開発途上国に常在し散発的に発生している疾患ですが、時として汚染された飲料水などを介し大規模な流行を引き起こす場合もあることが知られています。一方、先進国においては、開発途上国への旅行者の感染事例が多かったことから、専ら「輸入感染症」として認識されて来ましたが、近年、渡航歴のない「国内発症例」も散見されるようになり、しかも、そのような例から採取されたHEV株は、それぞれの地域に特有の「土着株」であることが明らかになって来ました。自然界における感染のサイクルは未だ不明ですが、豚やシカ、イノシシなどの動物からもヒトのHEVに酷似するウイルスが検出されていることや、動物からヒトへの感染事例の報告もされていることから、今では本疾患は人獣共通感染症として捉えられています。(厚労省ウェブサイトより引用)

近年,ジビエ肉によるE型肝炎の増加が問題になっています.

レバーなどの内臓が,E型肝炎ウイルスに汚染されていることが多いからです.

万が一,ジビエ肉を食べるときは,十分な加熱を行うことをオススメいたします.