今回は、途上国の土地とブロックチェーンがテーマです。
アフリカ諸国をはじめとする発展途上国では、土地の登記に関して、適切な記録が保持されていないケースが多くあります。
そもそも記録がないとか、記録が間違っているとか、不正により改ざんされている等です。
それは、土地所有権を巡る紛争のリスクが存在することを意味します。
これは、企業や投資家にとって、大きな問題となります。
そのような不確実性のある土地には、企業は工場を建設できず、また、投資家は資金を投資できません。
企業や投資家を誘致できなければ、産業の発達など、その地域の成長を見込めません。
結果として、貧困が続くことになります。
ブロックチェーンへの期待
そんな途上国で、いま注目されているのが、ブロックチェーン上に土地情報を記録することです。
保有や移転の記録など、土地の登記情報を、不正な改ざんが無い形で残せるからです。
安心できる情報があれば、企業や投資家は、その土地に投資できます。
また、付随して、土地の売買をpeer-to-peerで行うため、取引の際の中間搾取がなくなり、取引当事者へのメリットが生まれます。
ブロックチェーンは諸刃の剣
一見すると、ブロックチェーンにより、バラ色の未来が訪れるかのように見えます。
しかし、ブロックチェーンは、諸刃の剣になりえます。
なぜかというと、もしも、汚職などの不正によって、はじめに嘘の情報をブロックチェーンの登記システムに書き込まれたとき、問題が深刻化するからです。
悪意ある権力者の主張を、正式なものとして認証してしまう恐れがあるのです。
ブロックチェーンに書き込む前に、正確な情報を把握する必要があり、正確に記録する必要があります。
実現のために乗り越えなければならない課題が多いのです。
技術を活かすのは、人間次第なのだということを、再認識させられますね。
今回の記事の作成にあたり、参考にした記事はこちらです。
・The Blockchain Could Launch this African Nation to the Top(FEE)
・蔓延する「ブロックチェーンは善」という空気を鵜呑みにできない理由(現代ビジネス)