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散録

落とし物をした女性を見て。

昨日、僕は、駅の駐輪場にいた。

 

これから自転車を停めようとしたまさにそのとき、僕の目の前を、先に自転車を停めた女性が通り過ぎようとしていた。

 

彼女は歩きながら、鞄の紐を肩にかける動作をした、そのとき。

 

小さい何かの入れ物が、彼女の鞄から地面に落ちた。

 

ポトっ。

 

彼女はそのことに気がつかなかった。

 

落とす現場を見ていたのは僕だけだった。

 

僕は彼女に声をかけようかどうか一瞬考えたが、僕自身が急いでいたこともあり、声をかけられなかった。

 

自転車を停める僕。

 

どんどん遠くへ歩いていく彼女。

 

(このまま放置していいんだろうか。。。)

 

僕は、少し悩んだが、拾うつもりのなかったその落とし物を、拾うことにした。

 

-この物語はフィクションです-