炎症と血清銅(Cu)の関係について解説します。
血清銅と炎症
銅の代謝
銅は、胃および十二指腸(小腸上部)で吸収され、肝細胞に取り込まれます。
そして、銅は、その大部分が、肝細胞内でアポセルロプラスミンに結合する結果、ホロセルロプラスミンが形成されて血中へと分泌されます。
セルロプラスミンと炎症反応
セルロプラスミンは、急性相蛋白質です。
すなわち、炎症反応が起きると、肝臓でのセルロプラスミンの合成が亢進します。
したがって、セルロプラスミンの増加を反映して、血清銅の測定値は上昇します。
解釈上の注意
炎症が起きたとき、上述のように、血清銅の測定値は上昇します。
しかし、炎症が収まるにつれて、セルロプラスミンの合成量も低下しますので、血清銅の測定値も低下していきます。
よって、炎症の収束後に、血清銅の測定値の低下を認めたからといって、そのことのみをもって、「銅が不足している」と解釈してはいけない点に注意が必要です。