カテゴリー
Column

プロバイオティクス;腸内環境・腸内フローラが寿命を決める

腸内細菌叢をターゲットにした老化防止法に注目が集まっている。

ヒトの腸には多種多様な腸内細菌がおり、種類は 1,000 種類以上と言われています。

腸内では、腸内の多様な細菌が常在し、複雑なバランスを形成しています。

腸内細菌は、種類ごとにまとまって生息していることから、その様子は、「お花畑」にたとえて“腸内フローラ(腸内細菌叢)”と呼ばれています。

腸内フローラについては、近年の DNA 解析技術の進歩によって。その詳細が解明され始めてきています。

一方で、現在問題となっている大腸の疾病の多くは、腸内フローラの乱れが影響していると言われています。

たとえば、日本人では大腸ガンが増えてきているが、原因は、食生活の欧米化と言われています。

高脂肪・高蛋白・低食物繊維食ばかり摂取することで、腸内環境が悪化していきます。

現在では、欧米風の食生活によって腸内細菌のバランスが崩れると、 悪玉菌が増加します。

この悪化した状態が続くと、大腸のさまざまな機能が低下し、腸の内容物の腐敗によってつくられた有害物質の吸収が増え、腸の老化を加速させると言われています。

この腸内フローラの改善および腸の老化への対抗策として、現在、注目されているのが「プロバイオティクス」です。

プロバイオティクスは、1989年にイリヤ・メチニコフ博士が唱えた「ヨーグルト不老長寿説」が始まりとされます。

プロバイオティクスとは、腸内フローラのバランスを改善し、カラダによい作用をもたらす生きた微生物のことです。

ちなみに、WHOではプロバイオティクスは「適正な量を摂取したときに宿主の健康に有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義されています(WHO, FAO(Food and Agriculture Organization of United Na- tions), 2001)。

ただし、プロバイオティクスが有益となるメカニズムについては、病原菌の腸管上皮細胞への接着阻害、免疫細胞の活性化、上皮細胞の抵抗性の増加などさまざまな報告がありますが、その詳しいメカニズムは未だ明らかとなってはいません。

このようにヒトに良い影響を与えるプロバイオティクスですが、近年では、プロバイオティクスにより寿命を延長させる可能性を検証した研究が報告されています。

そのひとつに、特殊なビフィズス菌を投与したマウスでの実験結果があります(協同乳業株式会社研究所による)。

●2011年(PDFはこちら).

●2014年(PDFはこちら).

この特殊なビフィズス菌とは、アンチエイジング関連物質として知られているポリアミン(プトレッシン、スペルミジン、スペルミンなどの総称)を産生する菌だそうです。

▼詳しくはこちら

プロバイオティクス ビフィズス菌LKM512って? / 協同乳業

この特殊なビフィズス菌を投与したマウスは、平均寿命が本来は2年のところ、約6ヶ月の寿命の延びが見られたそうです。

これは、ヒトに換算すると約20年の寿命の延びに相当します。

その後のマウスによる実験でも、腸内でのポリアミン濃度の上昇が、寿命を伸長させることが明らかとなっています。

今後、研究が発展すれば、ヒトの寿命を延長させるプロバイオティクスが発明される可能性があります。

若い時からプロバイオティクスを摂取しつづけることで寿命が簡単に延びる時代がやってくるのかもしれません。

あくまでも可能性ですが。