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呼吸性代償とは?

肺でのCO2の調節による代償について解説します。

呼吸性代償とは

代謝性異常や呼吸性異常が起きて、血液のPHが酸性またはアルカリ性に傾くと、体は、PHを正常範囲内(7.35 ~ 7.45)に保とうとします。

このとき、ヒトの体では、肺や腎臓の調節機構が働きます。

肺で行われるのが、CO2による調節であり、「呼吸性代償」と呼ばれます。

呼吸性代償では、呼吸様式を変化させます。

すなわち、呼吸回数や一回換気量を変化させることにより、CO2 の排出あるいは貯留を促します。

呼吸性代償の具体例

代謝性異常と呼吸性代償の例を紹介します。

代謝性アシドーシスの呼吸性代償

たとえば、敗血症の患者では、乳酸産生が増加し代謝性アシドーシスが発生します。

代謝性アシドーシスによりpH が低下するので、ヒトの体は、pHを正常範囲内に保とうとして、呼吸数の増加(頻呼吸)や一回換気量の増加(深呼吸)させます。

つまり、CO2を体外に排出してpHを増加させます。

呼吸数に関して言えば、一分間あたり20回を超える呼吸数は異常と言われ、呼吸性代償があることを示唆する所見となります。

代償性アルカローシスの呼吸性代償

たとえば、嘔吐を繰り返す患者では、胃液が失われることで強酸のHClが失われるため、代謝性アルカローシスになります。

代謝性アルカローシスが起ると、pHが増加するので、ヒトの体は、一回換気量を減少させたり(浅呼吸)、呼吸数を低下させたりします(徐呼吸)。

つまり、CO2を体内に貯留させ、pH を低下させます。